歯列矯正を行うためには、何らかの矯正器具や矯正装置が必要になります。その中でも、むかしから、最も頻繁に用いられているものとして、「ブラケット」が挙げられます。
ブラケットとは、歯列矯正を行う際、歯の表面にはりつけるタイプの最もポプピュラーな矯正器具です。ほとんどの方が、歯にブラケットをつけて矯正治療を受けている人を見たことがあるはずです。
このブラケットには、たんに「長方形の溝」が掘ってあるだけです。そのため、ブラケットを歯の表面にはりつけただけでは、歯にチカラを加えて動かすことはできません。なぜなら、このブラケットは、列車の車輪の役割しかしていないからです。
歯にチカラを加えて動かすためには、ブラケットの溝の中に、特殊なワイヤーを装着する必要があります。そして、このワイヤーがレールの役割をはたすことによって、適切な位置に歯を誘導することができるようになるのです。
このときに用いるワイヤーは、非常にやわらかく、弾力がある特殊なワイヤーです。ワイヤーの弾力を利用して、歯にチカラを加え、歯を動かすことができるのです。
定期的に行う調整の際には、このワイヤーを徐々に大きく、しっかりとしたものに交換することを繰り返します。そして、最終的にはブラケットの溝にピッタリとはまる程度になるまで、サイズを大きくします。
このように、ワイヤーサイズを大きくすることで、ブラケットに組み込んである溝に従って、全体の歯が本来あるべき位置に並ぶようになるのです。
ブラケットの種類
矯正治療で用いるブラケットは、大きく3つのタイプに分類することができます。
それぞれの特徴だけでなく、治療費も大きく変わってくるので、事前によく主治医と相談する必要があります。
メタルブラケット
矯正治療において、昔から最も頻繁に用いられている「金属製ブラケット」です。
ブラケットの溝の中を、ワイヤーがなめらかに滑るため、矯正治療を非常にスムーズに行うことができます。
セラミックブラケット
白いセラミック製や、透明な樹脂製などがあり、矯正装置を目立たなくすることができます。
そのため、10代の女性や、成人の方が希望することが多い矯正器具ということができるでしょう。
クリアブラケットの溝をワイヤーが滑る際、摩擦力が発生することが分かっています。そのため、メタルブラケットに比べると動きはスムーズではスムーズでないものの、全く支障なく治療することができます。
裏側につけるブラケット
ブラケット自体は金属製ですが、歯の表面ではなく、歯の裏側に貼りつけるという点が最大の特徴です。このように歯の裏側にブラケットをつけて治療する方法を、「舌側矯正治療」または「リンガル矯正治療」といいます。
周囲の人には、ほとんど見えない格好で矯正治療を行うことができます。そのため、女性に非常に人気の治療法です。
ただし、最近の舌側矯正では、それぞれ患者さんにオーダーメイドしたブラケットを使用します。そのため、歯の表につけるタイプのブラケットと比較して、治療費が非常に高価になるという特徴があります。
まとめ
歯の表側につけるブラケットや、歯の裏側につけるブラケットには、それぞれ特徴があります。そして、用いるブラケットの種類によって、治療費も異なります。
そのため、「自分の治療には、どのタイプのブラケットが相応しいのか」、「治療費はいくらになるのか」などについて、事前に主治医とよく相談するようにしてください。