「突出した口ゴボを治すためには、抜歯が必ずいる」
そう勝手に決めつけておたり、その抜歯が嫌で矯正相談に行くことをためらったりしている方が多くいます。もしかすると、あなたもその中の一人なのではないでしょうか?
実は、口ゴボはその原因によって、「上顎前突症由来の口ゴボ」と「上下顎前突症由来の口ゴボ」に分類することができます。そのため、「抜歯なしでは治療できない口ゴボ」と「抜歯なしでも治療可能な口ゴボ」とに分けることができるのです。
そのため、ここでは、2種類の口ゴボそれぞれについて詳しく説明していきます。
これを読むことによって、自分の口ゴボがどのタイプの口ゴボなのか、そして自分の口ゴボ治療に抜歯が必要になるのかについて理解できるようになるはずです。
口ゴボとは
「口ゴボ」とは、口元がボコッと突出した様子のことです。
主に、「上顎前突症(じょうがくぜんとつしょう)」や「上下顎前突症(じょうげがくぜんとつしょう)」が原因になっていることがほとんどです。
つまり、口ゴボとは突出した前歯によって、口唇のその周りの筋肉が持ち上げられている状態なのです。そのため、口ゴボの口元を改善するためには、前歯の位置を後方に引っ込める必要があるのです。
抜歯なしで治療可能な口ゴボ
非抜歯で治療可能な口ゴボとは、上顎前突症(または、出っ歯)が原因となっている口ゴボです。なぜなら、上あごの前歯を後に引っ込めるだけで、口ゴボの問題を改善することができるからです。
上あごの前歯だけを引っ込めるであれば、抜歯なして治療することも可能です。なぜなら、ミニインプラント(=インプラントアンカー)やGMDという装置を用いて奥歯を後方移動することができるからです。
もちろん、犬歯の隣にある第一小臼歯を抜歯した方が、抜歯なしで行うよりも治療は簡単になります。しかし、「抜歯はできるだけ避けたい」という方に対しては、あえて抜歯なしで治療することもできるのです。
抜歯が必要となる口ゴボ
非抜歯で治療できない口ゴボとは、上下顎前突症(または、両顎前突症)が原因となっている口ゴボです。
なぜなら、このタイプの口ゴボを改善するためには、上あごの前歯だけでなく、下あごの前歯も後方に引っ込める必要があるからです。下あごにおいては、ミニインプラントやその他の装置を用いても、奥歯を大きく後方に下げることはできないからです。
そのため、上下顎前突症が原因となっている口ゴボを改善するためには、抜歯が必要になります。最初に、上下の第一小臼歯を抜歯します。そして、その抜歯でできたスペースに向かって、前歯を後方移動するという手順です。
非抜歯で口ゴボ治療を行った事例
以前、わたしが運営する歯科医院に。口ゴボ治療を希望する中学校1年生の女の子が矯正相談に来ました。女の子の突出した口元が気になり、母親が連れて来たのです。
そのため、「上あごの小臼歯を2本抜歯して、前歯を引っ込める」という治療法を提案しました。なぜなら、女の子の噛み合わせをみると、重度の上顎前突症(または、出っ歯)だったからです。
しかし、その母子には「歯を抜きたくない」という希望が強くありました。幸い女の子の口ゴボは、上下顎前突症ではなく、上顎前突症が原因です。そのため、非抜歯での治療が可能と判断し、抜歯なしで治す方ことにしました。
さらに相談した結果、今回はミニインプラントを用いて前歯を引っ込めることにしました。なぜなら、女の子は部活動でダンスを一生懸命に頑張っていたからです。
「激しい運動を毎日するからには、できるだけ小さな装置の方が影響が少ないだろう」と判断したからです。
治療開始して2年半ほとで、矯正治療を完了することができました。出っ歯の噛み合わせだけでなく、口ゴボだった口元もキレイに改善することができました。
そして、口ゴボが改善できたことだけでなく、歯を抜かずに治療できたということ、治療中でもダンスが支障なくできたことを非常に喜んでいました。
非抜歯治療を選択する際の注意点
治療期間が長くかかる
非抜歯治療を選択した場合、半年〜1年ちかく治療期間が長くなってしまうことが予想されます。なぜなら、前歯を後に引っ込める前に、8本の奥歯(小臼歯2本、大臼歯2本)を先に後方移動する必要があるからです。
そして、奥歯を後方に移動するという治療法は、矯正治療の中でも最も難しい治療法の1つと言われているからです。
親知らずの悪影響
親知らずがあると、奥歯の後方移動がスムーズにできないことがあります。なぜなら、奥歯を後方へ移動しようとすると、親知らずとぶつかってしまうからです。
そのため、非抜歯での治療を希望するには、親知らずは事前に抜いておく方がよいでしょう。
治療費が高くなる
非抜歯治療を選択した場合、トータルの治療費が5〜15万円ほど高くなることが予想されます。
なぜなら、ミニインプラントや奥歯を後方移動する装置など、追加の装置が必要になるからです。そして、非抜歯治療を選択した場合、必要な通院の回数も6〜12回ほど多くなることが想定されるからです。
まとめ
口ゴボの口元を改善するためには、多くの場合、抜歯が必要です。
ただし、一部の口ゴボでは、非抜歯治療での改善が可能なことも事実です。そのため、非抜歯での治療を開始する際には、「非抜歯治療が可能か否か」についての診断が非常に大切になります。
よって、非抜歯での口ゴボ治療を考えている方は、最初に口ゴボ治療において実績のある歯科医院を探すことが大切です。
そして、実際の治療相談は、そのような実績のある歯科医院を探し出したうえで行くようにしてください。
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