歯列矯正における料金設定と料金体系
歯列矯正の治療費は、歯並びや噛み合わせの状態によって決まるものではありません。さらに、歯列矯正の費用は、矯正治療の難易度ともあまり関係がないのです。
歯列矯正の治療費は、主に「用いる矯正装置の種類」や「治療を受ける地域」によって決められています。(詳しくは、歯列矯正の治療費用は、噛み合わせや治療の難易度によって決まるの?)
ただし、歯列矯正の費用について確認すべきは、料金設定についてだけではありません。同様に、料金体系についても確認する必要があります。
なぜなら、料金設定が地域によってことなることと同じように、歯科医院によって料金体系が異なるからです。
そのため、「途中、追加費用がかかると思わなかった・・・」「あと何回、追加費用が必要になるのだろう」といったことにならないよう、料金体系についても、事前にしっかり確認しておく必要があるのです。
歯列矯正における料金体系
料金体系とは、「料金プラン」のことです。
携帯電話やスマホを買い換える際、いろんな会社の料金プランを比較したことがあるのではないでしょうか?
中には、料金プランが複雑で、「いったい、どれが得なのかよくわからない」「自分には、どのプランがもっともふさわしいのだろう」と頭を悩ませた経験がきっとあるはずです。
実は、歯列矯正においても、大きく分けると2つの料金体系があります。携帯電話の通話料やスマホのデータ通信料のように、複雑すぎるということはありませんが、事前にしっかり理解しておく必要があります。
なぜなら、携帯電話やスマホの場合と違って、歯列矯正における治療費は非常に高額だからです。料金体系の確認をおろそかにすると、思わぬ追加料金を請求されることがあるのです。
定額制料金(または、固定料金制)
定額制料金とは、いわゆる「パック料金」のことです。治療中に使用する装置やその数にかかわらず、歯列矯正の費用が一定あるということです。
最近では、この定額制料金を採用する歯科医院が増えています。なぜなら、患者さんにとって、非常にシンプルで非常に分かりやすい料金プランだからです。
わたしのクリニックでも、歯列矯正の費用には、この定額制料金を採用しています。それにより、料金の説明に多大な時間をついやすことなくなりました。
そして、多くの患者さんが、安心して矯正治療を受けられる格好になったと考えています。
<定額制料金のメリット>
- 追加費用を請求される心配がない。そのため、安心して治療を受けることができ、支払い計画も立てやすい。
- 複数の装置を用いても、治療費が高額になることはない。そのため、治療が難しいケースでは、費用を大きく節約することができる。
- 歯科医師も患者さんの財布を気にすることなく、必要な装置を投入することができる。そのため、治療を適切に完了することができる。
<定額制料金のデメリット>
- 治療の簡単なケースでも、難しいタイプのケースと同等の治療費を支払う必要がある。
- 治療費の内訳が不明瞭
従量制料金(または、従量制課金)
従量制料金とは、基本料金以外に、用いた装置の数によって治療費が決まるというものです。
この従量制料金は、多くの大学病院で採用している形式であるため、「大学方式」とも呼ばれます。そのため、大学病院に長く勤務していた歯科医の場合、自らが運営する歯科医院でも、大学方式つまり従量制料金を採用していることが多いようです。
<従量制料金のメリット>
- 使用する装置の数によって、費用の総額が決まる。そのため、治療費の内訳が、非常に明確である。
- 用いる装置が少ない場合、費用を安くおさえることができる。
<従量制料金のデメリット>
- 複数の装置を用いるケースでは、治療費が高くなる。
・矯正装置の追加が、必要となるケースがある。その場合、追加料金が発生する。そのため、治療が完了するまで、治療費の総額が不明。 - 装置追加の同意が得られない場合、矯正治療に支障をきたす心配がある。
- 「治療費を高くするために、不要な装置を用いられるのではないか」という疑念を与えてします。
固定料金制における注意点
定額料金制の中にも含まれないもの
定額料金制の場合でも、料金の中に含まれないものがあります。たとえば、歯の抜歯や、開窓の費用です。開窓とは、骨に埋もれた埋伏歯を露出する処置のことです。
これら抜歯や開窓などの治療は、矯正治療の中には含まれません。そのため、治療費が別途必要になります。
このように、定額料金制の場合でも、例外として費用の中に含まれないものがあります。そのため、歯列矯正を開始する前には、「費用の中に、含まれないものはないか」「治療費が、別途必要になるものはないか」について、必ず確認する必要があるのです。
まとめ
歯列矯正の料金体系には、「従量制料金」「定額制料金」の2つがあります。そのため、料金体系について確認したうえで、矯正治療を開始する必要があります。
なぜなら、ふさしくない治療体系を選択すると、予定外の追加料金が必要になったり、治療費を多く支払うことになったりするからです。
よって、これから歯列矯正を考えている方は、料金プランをしっかりと確認したうえで治療開始するようにしてください。