お子さんが受け口の噛み合わせであることを知って、「この子が受け口になったのは、遺伝のせいだ」「この子の受け口は、自分のせいだ・・・」と責任を感じている保護者の方も多いと思います。
一方、「親戚の中にも、受け口の人はいないけど・・・・」と、疑問に感じている保護者の方もいるのではないでしょうか。
実は、受け口の原因は、遺伝だけとは限りません。遺伝以外にも、受け口の原因になったり、受け口を悪化する原因になったりするものがいくつかあるのです。
この受け口の原因を適切に把握して、早めに対処することで、効果的に受け口を改善したり、悪化を予防したりすることができます。
そのため、ここでは受け口の原因と、それぞれについての必要な対応を詳しく説明します。
子供の受け口の原因
子供の受け口の原因は、大別すると2つのタイプに分けることができます。それぞれ「遺伝が直接的に関係するもの」と、「遺伝が直接的に関係しないもの」です。
ただし、「いったいどちらの原因で、お子さんの受け口が発生しているか」ということを、ハッキリと区別することはできません。
なぜなら、子どもの受け口のほとんどは、両方の原因がそれぞれ混じり合って成り立っているからです。
しかし、どちらの原因が強いかということについては、ある程度考慮する必要があります。なぜなら、遺伝が強く関係している場合、治療が非常に難しかったり、受け口が急激に悪化したりする心配があるからです。
遺伝が直接的に関係する受け口
下あごが大きい
遺伝の影響が最も大きいと考えられるのは、下あごが極端に大きいタイプの受け口です。
そして、このタイプの受け口が、最も重症の受け口といえるでしょう。なぜなら、治療が非常に難しく、一旦治療した場合でも、再発するリスクが非常に高いからです。
そのため、このタイプの受け口は、できるだけ早期に治療開始することが望ましいといえるでしょう。
上あごが小さい
遺伝の影響が比較的大きいと考えられるものに、上あごが小さいタイプの受け口があります。子どもの受け口で最も多いのが、このタイプです。
そして、このタイプの受け口も、比較的重症の受け口ということができるでしょう。なぜなら、なぜなら、治療が比較的難しく、一旦治療した場合でも、再発するリスクがあるからです。
そのため、このタイプの受け口も、比較的早い時期から治療を開始することが望ましいといえるでしょう。
遺伝が直接的に関係しないが、受け口の原因になったり、悪化の原因になったりするもの
舌のチカラが弱い
舌のチカラが弱いことが、受け口の原因になったり、悪化の原因になったりすることがあります。
たとえば、食べものや唾液を飲み込む際の舌の位置です。本来、私たちは上あごの天井部部分に、舌を強く押し当てながら飲み込みます。
しかし、この時の舌のチカラが非常に弱い子ども、もしくは、上あごに舌が届いていないお子さんがいるのです。舌の押すチカラが弱いと、上あごはしっかりと成長することができません。
なぜなら、身体の骨や筋肉の発育と同じように、上あごが健全に成長するためには、上あごに負荷をかけつづける必要があるからです。
舌のチカラが弱いお子さんには、舌のトレーニング(または、MFT)が有効です。舌のトレーニングを行うことによって、舌のチカラを強くするだけでなく、上あごの成長を促進することも可能になるのです。
舌の位置異常
舌の位置が悪いことが、受け口の原因になったり、悪化の原因になったりすることがあります。
たとえば、食べものや唾液を飲み込む際の舌の方向です。上あごの天井ではなく、舌が下あごの前歯を強く押すことによって、受け口の噛み合わせが発生するからです。
なぜなら、このような舌の異常な動きは、下あごを大きくする格好のチカラに作用してしまうからです。
舌の位置異常があるお子さんにも、舌のトレーニングが有効です。舌のトレーニングを行うことによって、舌の正しい動きができるようになるだけでなく、上あごの成長を促進することもできるようにになるのです。
赤ちゃんの噛み癖
幼児期の噛み癖によって、受け口になる場合があります。
たとえば、赤ちゃんの噛み癖です。前歯が生えはじめる際、赤ちゃんは、その部分の歯ぐきにムズムズや違和感を感じるようになります。
その違和感を嫌って、受け口の噛み合わせの格好をとったりするのです。そのため、1歳半健診の時点で、受け口の噛み合わせ異常を発見することは、決して珍しいことではありません。
ただし、このタイプの受け口は、自然に治る可能性があります。なぜなら、3歳までの受け口は、自然に治る可能性が高いことが分かっているからです。
まとめ
お子さんの受け口の原因は、遺伝だけに限られるものではありません。遺伝以外にも、受け口の原因となったり、受け口を悪化する原因になったりするものが複数あるのです。
そのため、お子さんに受け口の噛み合わせ異常がある場合、それを放置することは望ましくありません。なぜなら、放置することによって、受け口が深刻な状態まで悪化するケースがあるからです。
よって、お子さんに受け口がある場合は、ただちに専門家の診察を受けるようにしてください。
ただし、その際は、子供の受け口治療において実績のある歯科医院であることを確認したうえで、受診するようにしてください。