歯列矯正で支払った治療費は、確定申告にて医療費控除の申告を行うことができます。ただし、一般的には、18歳までにうけた矯正治療についてです。
高校卒業後に開始した矯正治療や、成人になってはじめた矯正治療については、医療費控除(いりょうひこうじょ)の対象外になることがほとんどなのです。
しかし、高校卒業後に開始した矯正治療や、成人になってはじめた矯正治療のすべてが、医療費控除の対象とならないわけではありません。実際には、高校卒業後もしくは、成人になってはじめた場合でも、医療費控除が認められる特殊なケースがあるのです。
ここでは、高校卒業後、もしくは、成人になって矯正治療を開始した場合でも、医療費控除が認められる特殊なケースと、医療費控除の対象として認めてもらうためのポイントについて説明します。
医療費控除とは
医療費控除(いりょうひこうじょ)とは、1年間にかかった医療費(昨年、1月1日〜12月31日まで)について確定申告することで、所得控除を受けることができる制度のことです。
つまり、医療費控除とは、確定申告を行うことで、矯正治療でかかった治療費の一部を「還付金(かんぷきん)」というカタチで取り返すことができる制度のことです。
そのため、矯正治療を開始した方は、ぜひ活用することをオススメします。ただし、矯正治療を行ったすべてのケースで、医療費控除が可能とはならないので注意が必要です。
大人になって開始した矯正治療は、医療費控除の対象とはならない
高校卒業までに開始した矯正治療については、無条件に医療費控除の対象として取り扱われます。
しかし、高校卒業した時点ではじめた矯正治療や、成人になって開始する矯正治療については、残念ながら、医療費控除の対象とならないケースがほとんどです。
なぜなら、美容目的で行った治療と判断されるからです。そのため、成人になって行う矯正治療は、美容整形と同じように医療費控除の対象から除外されてしまうのです。
大人になって開始した矯正治療も、医療費控除の対象となる特殊なケース
成人になって矯正治療を行った場合でも、その目的が、明らかに美容目的ではなく、医療目的である場合には、医療費控除の対象となります。
たとえば、顎関節症のために矯正治療が必要になる場合や、噛み合わせ異常を改善するために矯正治療が必要になる場合についてです。このように、矯正治療を開始する目的が、明らかに医療目的であった場合、成人になって行う矯正治療も医療費控除の対象となりうるのです。
ただし、この場合も、自分が受けた矯正治療の目的が医療目的であることを、しっかり証明する必要があります。なぜなら、「自分の矯正治療は、医療目的である」と口で言うだけでは、税務署はなかなか認めてくれないからです。
では、どうすれば「今回の矯正治療が、医療目的である」ということを、証明できるでしょうか?
そのためには、診断書を準備することがオススメです。確定申告を行う際、病名の記載がしてある診断書を添付することで、今回の矯正治療が医療目的であることを、証明することができます。
そうすることによって、たとえ、高校卒業後、もしくは、成人になって矯正治療を開始した場合でも、医療費控除を受けることができるようになるのです。
この診断書について、もう1つ注意することがあります。それは、医療機関名や医療法人名についてです。たとえば、医療機関や医療法人名の中に、「美容」もしくは「審美」などの文字がある場合です。
「○○美容外科クリニック」「△△審美歯科クリニック」などで、矯正治療を受けた場合、それが美容目的ではなく、医療目的の場合であったとしても、税務署に信じてもえないケースがあるからです。
そのため、矯正治療を受ける際には、医療機関名だけでなく医療法人名についても確認し、美容もしくは審美の文字がない医療機関を選択する必要があるのです。
まとめ
成人になって歯列矯正をはじめた場合でも、そのために支払った治療費は医療費控除の対象になります。ただし、確定申告の際、歯科医による診断書を添付する必要があります。
なぜなら、診断書が添付されていない場合、成人の矯正治療は美容外科と同じく、美容目的で行った行為と判断されてしまうからです。
よって、成人になって矯正治療を開始した方は、確定申告の際には、必ず主治医による診断書を添付するようにしてください。そうすることで、あなたの矯正治療費も医療費控除できるようになるはずです。