矯正治療は、一般の開業医だけでなく、大学病院などの大きな医療機関でも受けることが可能です。
そのため、近くに大学病院があるという方にとっては、選択肢の1つになりうるでしょう。ただし、大学病院は遠くて通院できないという方も、悲観する必要はまったくありません。
なぜなら、大学病院だからといって、最新の治療が受けられる、もしくは複数の治療法の中から、自分に合った方法を選択することができるとは限らないからです。
むしろ、治療実績の高い一般開業医の方が、安心して矯正治療を受けることができるケースも少なくないからです。
ここでは、矯正治療を受ける際、大学病院など大きな医療機関を選択するメリットとデメリットについて説明します。
大学病院で矯正治療を受けるメリット
複数の人間のチェックを受けることができる
大学病院で矯正治療を受ける最大のメリットは、常に複数の人間がチェックする機能があるということです。
たとえば、治療計画をたてた際にも、実際に矯正治療を開始する前に、複数の歯科医師によるチェックが行われます。また、途中の治療経過についても、定期的に治療報告を行ったり、チェックを受けたりしながらすすめるのが一般的です。
このように、複数の人間がチェックするシステムが働くということは、患者さんにとって非常に有益です。なぜなら、独りよがりの治療計画が立てられたり、誤った治療が行われたりする可能性を無くすことができるからです。
また、治療が順調にすすんでいない際も、複数の人間から適切なアドバイスや指導を受けながら、治療を行うことができます。そのため、このように複数の人間のチェック機構が常に働くということは、矯正治療を安全に行ううえで非常に効果的なのです。
ゆっくりと時間をかけて診療
大学病院での診療は、時間をかけてゆっくり行うのが一般的です。開業医のように、歯科衛生士がワイヤーの交換を手伝ったりすることはありません。ほとんどの処置を、歯科医師が行います。
そのため、「じっくり時間をかけて、処置を行ってほしい」と希望する患者さんにとっては、非常に安心して治療を受けることができる場所ということができます。
特殊なケースに対応できる
大学病院では、開業医が積極的に受け入れを行っていないタイプについても治療を受けることができます。たとえば、「○○症候群」などの特殊な病気を伴っているケース、もしくは特殊な病気が原因で矯正治療が必要になっているケースです。
これらのケースについては、積極的に受け入れを行っていない開業医が多いのです。なぜなら、このような特殊なケースでは、形成外科や小児科など、他科との連携が必要になるからです。
また、特殊な診療を行う際には、毎回の診療に時間が多くかかることも理由の1つに挙げられます。そのため、特殊な病気を伴っているケース、もしくは特殊な病気が原因で矯正治療が必要になっているケースについては、大学病院での診療を紹介するケースがどうしても多くなってしまうのです。
大学病院で矯正治療を受けるメリット
平日の診療時間
大学病院で矯正治療を受ける際、ネックになるのが「診療時間の問題」です。なぜなら、大学病院の診療時間は、土日はなく、平日に限られています。また、午後の診療についても、開業医と比べると早い時間に終了するのが一般的です。
そのため、患者さんが矯正治療を実際に受けることができる時間が、平日の早い時間に限られているのです。そのため、大学病院で矯正治療を受けようとすると、学校や仕事を休んだり、早退したりして受診する必要があるのです。
一方、開業医であれば、土日に治療を受けたり、平日でも比較的遅い時間に治療を受けたりすることが可能です。そのため、矯正治療を受ける場合も、学校や仕事を休んだり、早退したりして受診する必要がないのです。
治療方法が限定
多くの方が、「大学病院では、最新の治療が受けられる」もしくは「大学病院では、複数の治療法から自分にあった治療法を選択できる」と思っているはずです。ただし、これらのことは正しいとは言えません。
なぜなら、大きな組織であるため、新たな材料や、新しい治療方法を取り入れたりすることが簡単にできないからです。どうしても、大学病院の教授が良いと考える材料や治療方法で治療を行う必要があるからです。
一方、材料でも治療方法でも、良いものであれば、即座に導入することが可能です。そのため、最新の治療を受けることができたり、複数の治療法の中から選択したりすることができるのです。
経験値が高いとは限らない
大学病院には、複数のドクターが所属しています。また、平日しか治療を受けることができないということから、患者さんの総数も極端に多い訳ではありません。
そのため、1人の担当できる患者さんの数は、それほど多くないということができます。つまり、大学病院のドクターの経験値は決して高いとは言えないのです。
そのため、大学病院で基礎を学び終えた直後には、開業医に移るドクターが少なくないのです。なぜなら、患者さんを多く抱える開業医に移った方が、矯正治療の実績を多く積むことができるからです。
まとめ
矯正治療を受ける医療機関を選択する際、「医療施設の規模」や「通院のしやすさ」だけで判断してはいけません。なぜなら、矯正治療は、治療経験が大きく関係するものであり、その人の一生にも関わってくるものだからです。
そのため、「自分が望む治療法において、十分な治療実績があること」、もしくは「自分と同じタイプの治療において、十分な治療経験があること」を重要視すべきなのです。
よって、これから矯正治療を考えている方は、自分が希望する治療法、もしくは自分が必要とする治療において実績がある医療機関を選択することが大切です。そして、そのような安心して治療を受けることができる医療機関を選択したうえで、矯正相談に行くようにしてください。