お子さんの乳歯がすべて生え代わると、「第二大臼歯(だいにだいきゅうし)」または「12歳臼歯」と呼ばれる7番目に位置する歯が生えはじめます。
その頃に始まるのが、第二次性徴(だいにじせいちょう)です。いわゆる思春期成長のはじまりで、お子さんの身体が急激に変化する時期です。また、この時期には身長や体重などの身体の変化だけでなく、アゴ骨についても大きく変化するのです。
しかし、みなさんに、ぜひ理解してほしいことがあります。それは、アゴ骨の成長の特徴についてです。なぜなら、第二次性徴期におけるアゴ骨の成長は、非常に特殊だからです。第二次性徴期に、下アゴは大きく成長する一方で、上アゴはほとんど成長しないという独特の成長の方法をとるのです。
そのため、お子さんの第二期矯正治療を考える際には、しっかりとタイミングを考慮する必要があるのです。
第二期矯正治療とは
乳歯が残っている状態のときに開始する小児期の矯正治療を「第一期矯正治療」と呼ぶのに対して、 永久歯が生えそろった状態ではじめる本格的な矯正治療のことを、「第二期矯正治療」(以下、第二期治療)と呼びます。この第二期治療を開始するタイミングについては、なかなか理解が困難です。よって、まず以下の3つのタイプに分類することによって、第二期治療を開始する際の適切なタイミングについて容易に理解することができるようになります。
②第二次性徴が完了してから、矯正治療を開始することが望ましいタイプ
③第二次性徴の影響をあまり受けないタイプ
第二次性徴を利用して、矯正治療を行うことが望ましいタイプの治療とは
第二次性徴期は、下アゴが大きく成長することが特徴です。
そのため、下アゴを積極的に大きくすることが望ましいと判断されるタイプの治療では、第二次性徴の時期に第二期治療を行うことが非常に有効といえます。
なぜなら、第二次性徴の時期に矯正治療を行うことで、下アゴの成長促進を測ることが可能になるからです。
たとえば、下アゴの形態が小さく、そのため出っ歯(または、上顎前突症)や、深い噛み合わせ(または、過蓋咬合)の状態になっているケースです。この場合、下アゴが小さいという根本的な問題を解決することで、噛み合わせを改善することが最も理想的です。
そのためには、第二次性徴期に矯正治療を開始して、下アゴの成長をうまく利用したり、促進したりすることが望ましいのです。
もちろん、第二次性徴期が終了したあとでも、歯並びや噛み合わせの状態を改善することは可能です。しかし、第二次性徴期を逃すと、矯正治療を行う際、抜歯を行う必要性がでてきたり、妥協的な仕上がりになったりする可能性があるのです。
第二次性徴が完了してから、矯正治療を開始することが望ましいタイプの治療とは
第二次性徴期は、下アゴが大きく成長することが特徴です。そのため、下アゴが成長することが望ましくなくタイプの治療では、第二次性徴が終了するのを待って矯正治療を開始する必要があります。
なぜなら、第二次性徴中に矯正治療をはじめると、治療中に下アゴが大きく成長して、最初にたてた治療計画が適切でなくなってしまう心配があるからです。その他にも、せっかく整えた歯並びや噛み合わせの状態が、下アゴの成長により、大きく崩れてしまう心配があるからです。
第二次性徴の影響をあまり受けないタイプの治療とは
第二次性徴期は、下アゴが大きく成長する期間です。しかし、アゴ骨の形態のバランスが良く、かつ上下のアゴ骨の位置関係も良好なタイプのお子さんでは、二次性徴の影響を大きく受ける心配はありません。
そのため、矯正治療を開始するタイミングについては、あまり神経質になる必要はないということができます。
たとえば、卒業式や入学式を済ませたあとで、矯正治療を開始したいと希望するお子さんも少なくありません。このようなケースでは、二次性徴が終了した後に、ゆっくり矯正治療を開始することができるということです。
また、高校に進学する前に矯正治療を済ませたいと希望する場合でも、二次性徴が終了するのを待たず、矯正治療を開始することができるということでもあります。
第二次性徴の影響を受けにくい歯並び異常、もしくは噛み合わせ異常として挙げられるのが、骨格的な異常がないタイプの歯のデコボコや八重歯などです。
このように、上下のアゴ骨の形態や位置関係に大きな異常がないタイプでは、自分が望むタイミングで矯正治療を開始することが可能なのです。
まとめ
第二期治療については、治療を開始するタイミングが非常に大切です。なぜなら、第二期治療を開始するタイミングを考慮することで、効果的に治療を行うことができるからです。
そのため、これからお子さんの矯正治療を考えている方は、第二次性徴について配慮し治療計画をたてることができる歯科医院を選択することが大切です。
そして、そのような安心して治療を受けることができる歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにしてください。