矯正治療を終えて、キレイになる・・・そのように想像するだけで、なんだが頰が緩んでしまうのはなぜでしょうか?
歯並びがキレイになっただけでも、自分があこがれる有名人に一歩近づけたような気分になりますよね。そして、そのように考えただけでも、とても幸せな気分になりますよね。
歯並びをキレイにするためには、およそ2年におよぶ歯列矯正治療が必要であるということは多くの方がすでに御存知のことと思います。
しかし、矯正治療を終えてキレイになった歯並びを維持するために、「保定処置(ほていしょち)」というものが必要になることを御存知の方は少ないのではないでしょうか?
歯列矯正をはじめる際、保定処置についても十分に理解しておく必要があります。
なぜなら、歯列矯正を行った際、その後につづく保定処置が不可欠だからです。保定処置のことを知らないまま歯列矯正をはじめると、きっと後悔することになるからです。
そのため、ここでは、歯列矯正後に必要となる保定処置について詳しく説明します。これから歯列矯正をはじめようと考えている方は、必ず読むようにしてくださいね。
キレイにした歯並びが崩れたら・・・
ネットの書き込みサイトを見ると、「歯列矯正後に歯並びが崩れてしまった・・・」「後戻りしてしまった・・・」というものを多く見つけることができます。
せっかくキレイに整えた歯並びが崩れてしまったら・・・2年もかけて矯正した歯並びが後戻りしてしまったら・・・・そう考えるとゾッとしませんか?
だって、それまでに支払った高額の治療費や、2年にも及ぶ治療期間がムダになってしまうのですから・・・。
でも、歯列矯正後の後戻りって、決して珍しいことではないのです。
そしたら、「また2年もかけて、矯正やり直すの・・・」「また、治療費がかかるの・・・」なんて絶望的な気分になってしまいますよね。
だからこそ、このような後悔をしないで済むように、歯列矯正を実際にはじめる前に、保定処置の重要性について十分に理解しておく必要があるのです。
後戻りなぜ起こるの?
矯正治療で整えた歯並びや噛み合わせに、後戻り現象が発生するのはなぜでしょう。
矯正治療が失敗したからでしょうか? それとも、矯正医が下手だったからでしょうか?
実は、後戻りが起こるのは、矯正治療が失敗したからでも、矯正医が下手だったからでもありません。
歯列矯正が正しく行われていたとしても、後戻り現象は起こる危険性が十分にあるのです。
後戻りの原因として考えられるもの
アゴ骨がやわらかい
歯列矯正後の歯並びや噛み合わせは、非常に不安定な状態です。
なぜなら、歯列矯正を終えたばかりのアゴ骨は、しっかり固まりきれていないからです。
そのため、歯根をしっかりと固定することができず、歯が勝手に移動してしまいやすいのです。
筋肉の動き
歯列矯正後の歯並びや噛み合わせには、望ましくない方向からのチカラが加わりやすくなっています。
なぜなら、矯正治療後のアゴの動きや舌の動きが、新しい歯並びや噛み合わせに合っていないからです。
そのため、歯並びを崩したり、歯を押し倒したりするようなチカラが加わる格好になっているからです。
後戻りを防ぐための手段
ここまで読んだ方の中には、「歯列矯正しても後戻りしてしまうの?」「歯列矯正してもムダなの?」とガッカリしている方もいらっしゃることと思います。
しかし、歯列矯正を行った後には、歯列矯正後の後戻りを防ぐ手段を予定の中に組み込んであります。
この歯列矯正後の後戻りを防ぐ手段のことを、保定処置(ほていしょち)といいます。
具体的には、歯列矯正で歯並びや噛み合わせを整えた後で、リテーナー(=保定装置)と呼ばれる矯正装置を使用します。
そうすることによって、骨折をした際に使用するギブスのように、歯根の周りの骨がしっかり固まるまでの間、歯並びを固定するようにするのです。
歯根の周りの骨がしっかり固まれば、歯並びが崩れたり噛み合わせがズレたりするリスクを極端に少なくすることができます。
このように、矯正治療でしっかりと整えた歯並びや噛み合わせも、保定処置がないと簡単に壊れてしまいます。
そのため、これから歯列矯正をはじめようと考えている方は、保定処置が必要になることを理解したうえで歯列矯正をはじめるようにしてくださいね。
保定処置の期間は?
保定処置に必要な期間は、通常2〜3年です。
2〜3年と聴いて、愕然(がくぜん)となった方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、歯根の周りのアゴ骨がしっかりと固まるまでには、歯を動かした期間と同じだけ保定処置を行う必要があるのです。
ただし、歯列矯正中とちがって、リテーナーを昼間に使用する必要はありません。
リテーナーを使用する必要があるのは、就寝中のみでOKです。
そのため、保定処置については、歯列矯正中ほど大きなストレスを感じる心配はありません。
後戻りが起きやすいタイプとは?
中には、歯列矯正後の後戻り現象が、極端に起こりやすいタイプというものがあります。
たとえば、開咬症(かいこうしょう)や重度の出っ歯を治療したケースです。
そのため、開咬症(かいこうしょう)や重度の出っ歯だった方は、保定処置を徹底的に行うことがオススメです。
ただし、その他のケースについて、後戻り現象が決して起こりにくいというわけではありません。
そのため、後戻り現象が起きやすいタイプかどうかにかかわらず、保定処置期間中はしっかりとリテーナーを使用するようにしてくださいね。
保定処置中に考慮すべきこと!
筋肉のトレーニング
わたしのクリニックでは、保定期間中に口の機能と関係する筋肉のトレーニング(=筋機能訓練)を積極的に行うようにしています。
なぜなら、歯列矯正後の後戻り現象に、舌、頰、口唇、咀嚼筋など筋肉の動きが密接に関係しているからです。
舌、頰、口唇、咀嚼筋など筋肉が正しく動くことによって、歯列矯正後の後戻り現象を効果的に予防することができるからです。
そのため、機能訓練が必要と判断される場合には、積極的に取り組むようにしてくださいね。
親知らずの抜歯
わたしのクリニックでは、保定処置期間中に親知らずを抜歯することもおすすめしています。
なぜなら、親知らずがあることによって、歯並びや噛み合わせが崩れる可能性があるからです。
アゴ骨の中で親知らずが水平に倒れている様子が観察される場合は、とくに注意が必要です。
なぜなら、水平に倒れていると、親知らずが動く際、前方の歯を強く押してしまう格好になるからです。
そのため、歯列矯正でキレイに整えた歯並びや噛み合わせが、崩れてしまう結果になるからです。
そのため、親知らずがある場合は、積極的に抜歯することを考えるようにしてくださいね。
まとめ
歯列矯正を行って歯並びや噛み合わせがキレイになったからといって、歯列矯正が完了したわけではありません。
なぜなら、矯正治療を終えたばかりの歯並びや噛み合わせは、後戻りしやすい不安定な状態です。
歯列矯正後の後戻り現象を予防するためには、歯並びや噛み合わせを改善した後も保定装置(=リテーナー)という矯正装置を使って、歯並びや噛み合わせが崩れることを防止することが大切なのです。
よって、これから歯列矯正をしようと考えている方は、治療後の保定処置についても理解したうえで歯列矯正をはじめるようにしてください。
そして、保定処置についてのしっかり対応する矯正歯科を見つけたうえで、矯正相談を受けるようにしてください。