矯正治療を行う際に、歯を抜いて行う矯正があることは、みなさん御存知のことと思います。
人によって、2本の抜歯が必要なケース、4本の抜歯が必要なケースと抜く歯の本数もさまざまです。
特に、上アゴの歯だけを抜いて矯正治療を行う場合、最終的にキチンとした噛み合わせに仕上がるのか心配になります。
ここでは、上アゴの歯だけを2本抜歯して行う矯正と、その際の噛み合わせについて説明します。
歯の本数
最近では、ヒトのアゴ骨が小さくなっていることもあり、親知らずがまっすぐ生えているケースを、見かけることは非常にまれです。
そのため、親知らずを除くと、わたし達は通常28本の歯で噛んでいます。上アゴと下アゴに、それぞれ14本づつです。
上アゴの歯だけ抜歯して矯正するケースとは、どのようなケースなのでしょうか?
また、その時の噛み合わせは、キチンと噛める状態になっているのでしょうか?
上アゴの歯だけを2本抜くケース
上アゴの歯を2本抜くケースとは、出っ歯(または、上顎前突症)および八重歯(やえば)のケースです。
ともに、犬歯の隣にある小臼歯を抜歯して、歯並びと噛み合わせを整えます。
出っ歯のケースでは、抜歯でできたスペースを利用して前歯を引っ込め、八重歯のケースでは、スペースを使って前歯のデコボコを解消するのです。
上アゴの歯が2本不足する噛み合わせ
出っ歯もしくは八重歯のケースでは、犬歯の奥の歯抜くため、前歯の噛み合わせは通常どおりの噛み合わせです。
一方、奥歯の噛み合わせについては、上アゴの奥歯が小臼歯1本分前方にずれた少し特殊な噛み合わせになります。
しかし、この時の奥歯の噛み合わせは、上下の山と谷がピッタリと合ったキレイな噛み合わせです。
なぜなら、奥歯の表面にある突起や窪(くぼ)みが、抜いた小臼歯と同じ幅で規則的に並んでいるからです。
実際に、出っ歯治療を行った事例
以前、わたしが運営するクリニックに、出っ歯の治療を希望する女子高生が矯正相談にきました。
ある朝突然、洗面所で鏡を見ていると、自分の出っ歯に気づき、矯正したいと強く思うようになったとのことでした。
そこで、わたしは上アゴの小臼歯を2本抜いて、前歯を引っ込める治療を提案することにしました。
なぜなら、彼女の前歯は前方に大きく傾斜していたからです。そして、抜歯を行う矯正を用いることで、前歯の傾斜も改善できると判断したからです。
上アゴの小臼歯を抜歯して、ブラケット(または、矯正器具)をつけて治療を行った結果、20ヶ月後には予定どおりキレイな噛み合わせに仕上げることができました。
その後も、後戻りを予防する装置(または、リテーナー)を使用しながら、歯並びと噛み合わせはしっかりと維持できています。
まとめ
出っ歯や八重歯の治療を行う際、上アゴの小臼歯だけを抜いて矯正を行うことがあります。
もちろん、その抜歯する治療法が適切なケースかどうかについては、適切に診断することが重要です。
よって、出っ歯もしくは八重歯の治療を考えている方は、適切な診査・診断ができる歯科医院を選択することが最も大切です。
そして、そのような安心して治療を受けることができる歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにしてください。