近年、わたし達のアゴ骨が小さくなったことで、アゴ骨に親知らずが収まりきれないというケースを多く見かけます。
単に、大きくずれた位置に生えるだけでなく、口の中に顔を出すことさえできない親知らずが多くあるのです。
これらの親知らずを、そのまま放置して大丈夫なのでしょうか?
残念ながら、口の中に顔を出せない親知らずを放置すると、大きなトラブルを招く恐れがあります。そのため、口の中に出てこない親知らずは、抜歯することがオススメです。
ここでは、親知らずの抜歯を躊躇(ちゅうちょ)したことで起こる「重篤なトラブル」について説明します。
傾く親知らず
最近では、真っ直ぐに伸び出してくる親知らずは非常に稀(まれ)です。骨の中で水平に傾いて、口の中に伸び出せない親知らずも多く認めます。
このような親知らずを放置すると、矯正治療後の歯並びや噛み合わせに悪影響がでるだけではありません。
親知らずの手前にある12歳臼歯(または、第2大臼歯)の状態を大きく悪くする心配があるので注意が必要です。
傾斜した親知らずのトラブル
虫歯の発生
親知らずが12歳臼歯に向かって倒れ込むことで、その間の歯磨きが行いにくくなります。そのため、頻繁に起こってくるのが、「虫歯の発生」です。
この際、親知らずの方に虫歯が発生するのであれば、親知らずを抜歯することで問題は解決します。しかし、厄介なことに、ほとんどのケースで12歳臼歯の方に虫歯は発生してしまうのです。
しかも、虫歯は歯根部分に発生するため、問題はより深刻になります。その後、親知らずを抜いて虫歯の治療を行ったとしても、12歳臼歯は瀕死(ひんし)の状態で残ってしまうのです。
重度歯周病の発生
親知らずが倒れることで問題になるのが、12歳臼歯の歯根との接触です。なぜなら、親知らずと12歳臼歯の間に存在する骨が非常に少なくなってしまうからです。
実は、幅が薄い骨は、歯周病に対して抵抗力が非常に弱いことが分かっています。そのため炎症が起きると、一瞬でその骨は消失してしまう恐れがあるのです。
しかも、親知らずが大きく倒れ込んでいる場合、12歳臼歯を支える骨の半分以上を一気に失うこともあります。そうなると、12歳臼歯はいきなり歯周病重度の状態になってしまうのです。
まとめ
矯正治療後には、親知らずは抜歯することがオススメです。
特に、倒れた親知らずを放置すると、手前の12歳臼歯に重篤なトラブルをまねく心配があるので注意が必要です。
よって、親知らずがある方は、主治医とよく相談しできるだけ抜歯するようにしてください。