矯正治療を開始したばかりの頃は、痛い思いをしているだけで、鏡で見ても歯はあまり動いていません。
そんな状況を、不安を感じたり、不信に感じたりしていませんか?
しかし、歯がほとんど動いていなくても、まったく心配する必要はありません。
矯正治療を開始したばかりは、どなたの場合でも、歯はすぐには動いてはくれないのです。
ここでは、矯正を開始したばかりの歯が動きにくい理由について説明します。
矯正開始したばかりの歯の動き
更に、矯正治療開始したばかりの歯は、最初まったく動いている様子が見られません。
歯の周囲に骨を改造するための細胞が、十分に集まっていないからです。
これらの細胞は、歯に矯正力を加え始めることによって、徐々に歯の周囲に集合し始めます。
そして、骨を改造するための細胞が十分に集まるまでは、たとえどんなに強いチカラを加えても痛いだけで、歯は全く動こうとしないのです。
矯正中に見られる独特な歯の動き
矯正治療における歯の移動は、骨を吸収する破骨細胞(はこつさいぼう)と、骨をつくる造骨細胞(ぞうこつさいぼう)の働きによって行われます。
そのため、歯が動く様子をグラフにすると、階段状の折れ線グラフになることがわかります。
つまり、歯は、動かない「停滞期(または、プラトー期)」と急激に動く「活動期」を、交互に繰り返しながら動いているのです。
矯正で歯を引っ張った際、歯が動く側の骨に、破骨細胞が多く集まり、骨を吸収します(停滞期)。その破骨細胞が吸収した分だけ、歯は瞬間的に動くのです(活動期)。
「だるま落とし」のオモチャをイメージすると分かりやすいかもしれません。その後は、また歯が移動するためには、破骨細胞によって骨が吸収する時間を待つ必要があるのです(停滞期)。
矯正中の歯が動く速度
複数の研究によると、矯正治療における歯を安全に動かすことができる適切な速度は、1ヶ月におよそ1mmです。
このように一般的な矯正治療でめざす歯の動きは、みなさんが想像しているほど急激ではありません。
矯正医は歯が早く動きすぎないように、むしろ矯正力を弱く加えるようにしているのです。
なぜなら、その細胞が骨を作りかえるペースを無視して、歯を大きく動かしたり過度に大きなチカラを加えたりすると、歯の根を壊してしまう心配があるからです。
まとめ
矯正治療を行う際は、適切な速度に歯を動かすことが大切です。なぜなら、急いで歯を動かそうとすると、歯の根を破壊してしまう心配があるからです。
よって、矯正治療を考えているかたは、安全に矯正を行う歯科医院を選択することが重要です。
そして、そのような安心して治療を受けることができる歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにしてください。