小学生になると、前歯の乳歯が抜けて永久歯にかわります。そんな時、最も気になるのが、前歯の「正中離開(せいちゅうりかい)」です。
正中離開とは、お子さんの前歯の間にできたすき間のことです。生え代わり時期に見られる前歯のすき間は、通常よく見られるものであり、自然と閉じることがほとんどです。
しかし、すき間が通常よりも大きく、また自然に閉じない様子がない場合、注意が必要です。なぜなら、お子さんの前歯の間に、何らかの障害物が存在している可能性があるからです。
ここでは、お子さんの前歯のすき間の原因となる「過剰歯(かじょうし)」について説明します。
正中過剰歯の頻度
過剰歯(かじょうし)とは、通常よりも余分にある歯のことです。日本小児歯科学会の調査によると、過剰歯が発生する割合は、およそ100人に5人と、比較的頻繁に発生するようです。
そして、その過剰歯は、上アゴの前歯の間にあるケースが比較的多く見られます。このように、上アゴの前歯の間にある過剰歯を、「正中過剰歯(せいちゅうかじょうし)」といいます。
過剰歯は奇形であることが多く、小さかったり曲がっていたりしています。その正中過剰歯が、前歯の部分にあることで歯並びに影響することが分かっています。
前歯のすき間
正中過剰歯が、歯ぐきから頭を出すこともありますが、一般的には骨の中に埋もれて顔を見せないケースがほとんどです。
そして、多くの場合、正中過剰歯は前歯の根の間にあるため、前歯の歯並びに悪影響を及ぼすのです。最も頻繁に見かけるのが、「前歯のすき間」です。
前歯は「ハの字」に生えますが、正中過剰歯があると、すき間の大きさが非常に大きくなることが特徴的です。
すき間の治療として最初に行うことは、過剰歯を抜歯することです。多くのケースでは、正中過剰歯を抜くだけで、前歯のすき間が自然に閉じることがあります。
そのため、私のクリニックでは、すぐに矯正器具を用いたりせず、3ヶ月程度は経過観察するようにしています。そして、すき間が自然に閉じなかった場合のみ、矯正器具を用いてすき間を閉じるようにしています。
実際に、すき間治療を行った事例
以前、私が運営するクリニックに、前歯が生え替わり始めた女の子の矯正相談にきました、女の子の前歯には大きなすき間があり、それを見た母親が心配して連れてきたのです。
そこで、私は、レントゲン写真をまず撮って確認することを提案しました。なぜなら、女の子の前歯の間に、正中過剰歯があることが疑われたからです。
実際にレントゲン写真で確認すると、前歯の間に正中過剰歯があることが分かりました。そして、女の子と相談の上、次の春休みに過剰歯を抜歯することにしました。
過剰歯を抜いたあとは、しばらく矯正器具は装着せず、そのまま経過観察のみを行いました。すると、女の子の前歯のすき間は、徐々に小さくなったのです。
そして永久歯が生えそろうことには、前歯のすき間はほとんど分からない状態になしました。女の子の話しをきくと、正中過剰歯の抜歯は辛かったそうですが、前歯のすき間がキレイに閉じて満足しているようです。
まとめ
お子さんの前歯に正中離開が見られる場合、一度レントゲン写真で確認することがオススメです。なぜなら、前歯の間に過剰歯が存在している可能性があるからです。
よって、お子さんの前歯のすき間が気になる方は、こどもの歯並び育成の実績がある歯科医院を選択する必要があります。そして、そのような信頼できる歯科医院を見つけたうえで、相談に行くようにしてください。