小学生になると、乳歯が抜けて永久歯への交換が始まります。この時期、仕上げ磨きを行っていると、歯の生え方だけでなく、特殊な形の歯が生えてきてビックリすることがあります。
中でも比較的よくみかけるのが、「角(つの)をもった歯」です。この、角をもった歯が生えてくるのを下アゴに発見した場合、早急に対応が必要になります。
なぜなら、角が折れてしまうと、その歯の残せなくなってしまう心配があるからです。ここでは、矯正治療中のお子さんで頻繁に発見する「中心結節(ちゅうしんけっせつ)」について説明します。
中心結節とは
下アゴの小臼歯(犬歯の奥にある歯)が、細い突起がある状態で生えてくることがあります。その突起は噛み合わせする面の真ん中にあるため、「中心結節(ちゅうしんけっせつ)」と呼ばれます。
100人のうち3人くらいの割合で、この中心結節をもつ小臼歯が生えてくることが分かっています。実は、この突起があることに気づかず放置すると、大きなトラブルになることがあるので注意が必要なのです。
中心結節の問題
下アゴの小臼歯は、女の子では3〜4年生くらいで、男の子だと4〜5年生くらいで生え始めます。乳歯が抜けて小臼歯が見え始めると、3ヶ月ほどで上の歯と接触しはじめるようになるのです。
その際、小臼歯に中心結節があると、この突起を噛み折ったり噛み砕いたりすることがあるので注意が必要です。なぜなら、多くの場合、歯の神経がこの突起の中にまで入り込んでいるからです。
中心結節が折れて中の神経が細菌感染すると、大きな痛みが発生するため、歯の神経を取り除く必要があります。そうなると、小臼歯の根の成長は、この時点で完全にストップしてしまうのです。
歯の破折リスク
中心結節が折れて中の神経が細菌感染した際、最も問題になるのが「歯根が未完成」であることです。未完成の歯の根は、この時点では、極端に短くまた厚みも非常に薄い状態です。
そのため、通常の噛むチカラによって歯を噛み折ったり、亀裂を発生させたりする危険性が高くなるからです。当然、折れた歯、亀裂が入った歯については、残せないケースがほとんどなので注意が必要なのです。
矯正治療中に見つけた中心結節
矯正治療中に中心結節を見つけた場合については、私達のクリニックでは、次のような破折防止を施します。上アゴの歯と噛み合う前に、突起の周囲をプラスチック様の材料で囲ってしまうという方法です。
このようにして、中心結節が早期に破折するというトラブルを、積極的に回避します。そして、小臼歯の根が無事に完成するまでの期間、神経が細菌感染することを効果的に防ぐことができるのです。
まとめ
お子さんの歯に「角をもつ歯」を見つけた場合、早期に対応することが大切です。なぜなら、この突起が早期に折れると、その歯を残せなくなってしまう心配があるからです。
よって、お子さんに角がある歯を見つけた方は、適切な破折予防が行える歯科医院を選択することが重要です。
そして、そのような安心して治療が受けられる歯科医院を見つけたうえで、治療相談に行くようにしてください。