矯正治療を開始すると、首や肩、頭など矯正とは関係なさそうな部分に、痛みが発生することがあります。「なぜ、こんなところが痛むのだろう」と、心配になる方も多いと思います。
実は、矯正治療中に発生する首や頭の痛みは、筋肉の異常による痛みだったのです。
いったいなぜ、口とは離れた部分に、このような痛みや違和感を感じるようになるのでしょうか? そして、このような痛みや違和感が生じた場合、どのように対処したらよいのでしょうか?
ここでは、矯正治療中に発生する首の痛みの原因と、その対処法について説明します。
首にある咀嚼筋
わたし達の首にも、「咀嚼筋(そしゃくきん)」が存在しています。咀嚼筋とは、下アゴを動かす際に働く筋肉のことです。
鎖骨から顎のエラに向かって伸びる胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という筋肉は、主に口を開ける際に働く筋肉です。
矯正治療中、急に首が痛くなったり、こわばったりするのは、この首にある胸鎖乳突筋に異常が発生しているからなのです。
矯正治療によって発生する首の痛み
矯正治療を開始すると、なぜ筋肉痛が発生することがあるのでしょうか?
理由は簡単です。なぜなら、噛み合わせが変化することで、これまで使用していなかった部分の筋肉を、急に使うことを強いられるからです。
似たケースとして、いきなり激しい筋トレを行った場合が挙げられます。普段使っていない筋肉を急に動かすため、次の日から筋肉痛をしばらく感じるはずです。
首の痛みに対する対処法
矯正治療中に突然発生する筋肉痛は、一時的なものがほとんどです。しばらくすると、痛みは自然に改善するため、ひどく心配する必要はありません。
ただし、この筋肉痛が発生した時期に必要なのは、とにかく筋肉を安静にすることです。
具体的には、頬杖(ほほづえ)などのようなアゴに負担がかかる姿勢をとらないこと、噛み応えのある食べ物を控えることなどが挙げられます。
このように、しばらく安静にすることで、徐々に筋肉痛の痛みは軽減します。ちょうど激しく筋トレの後の筋肉痛が、数日かけて軽減するのと同じことです。
筋肉のマッサージ法
筋肉痛が激しい場合、簡単な筋肉マッサージを行うことが効果的です。
筋肉痛の原因となっている部分には、筋肉の痙攣(けいれん)が起こっています。そのため、指で触ると、「ツボ」のような違和感があったり、痛みが強くなったりするポイントがあります。
首の痙攣部分を探すには、人差し指、中指、親指の3本で順番につまみながら、痛みを感じるポイントを見つけます。
そして、グッと少し強めにつまんだ状態をキープすることで、首の筋肉を上手く伸ばすことができます。
ただし、このとき筋肉をもんだり、強くつまみすぎたりしないように注意してください。
1回につき10秒ほど、やさしくつまんだ状態をキープすることを、何回か繰り返すようにして下さい。
まとめ
矯正治療中に発生する首の痛みは、下アゴを動かす際に働く筋肉の痛みです。この首の痛みを放置しても、重篤な問題に発展する心配はないので安心してください。
また、痛みを強く感じる際には、筋肉のマッサージを行うことで、筋肉痛を効果的に和らげることができます。
ただし、筋肉のマッサージを行う際には、強い力で行ったり、揉(も)んで筋肉を痛めたりしないように注意してください。