みなさんは、「何本の歯でかんでいるか」御存知でしょうか?
わたしたちは、通常28本(ただし、親知らずを除く)、つまり上下それぞれ14本づつの歯で噛んでいます。
しかし、矯正治療を行う際には、その歯の本数を減らして治療を行う必要があるケースがあります。
たとえば、アゴ骨の中に全部の歯を並びきれないケース、もしくは無理に並べようとすると支障が生じることが心配されるケースです。
最も抜歯本数が多いケースでは、なんと4本の歯を抜いて矯正治療する場合があるのです。それを聞いて、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは、4本の歯を抜いて矯正治療を行うケースと、その際の噛み合わせについて説明します。
4本の歯を抜くケース
上下それぞれ2本づつを抜いて、全部で24本の噛み合わせに矯正するタイプには、2つのケースが考えられます。
最初に挙げられるのは、「歯のデコボコが著しいケース」です。アゴ骨に全部の歯を並べきれないと判断されるため、並べる歯の本数を少なくしたうえで、キレイに並べる必要があるのです。
次に挙げられるのが、口元の突出が気になる「ごぼ口(または、上下顎前突)」のケースです。
ごぼ口の治療では、歯を抜いて前歯を後ろに下げる矯正が非常に効果的です。前歯を大きく引っ込めることで、口元の突出を改善し、顔の印象を効果的に改善することができます。
永久歯24本の噛み合わせ
歯のデコボコと、ごぼ口のいずれのケースでも、犬歯の奥にある小臼歯を抜いて、歯並びと噛み合わせを整えます。
犬歯の奥にある歯を抜歯するため、前歯の噛み合わせは通常どおりの噛み合わせに仕上げます。
奥歯についても、上下ほぼ同じ大きさの歯を抜歯するため、単に本数が少ないだけで、奥歯の凹凸(おうとつ)がキレイに合った噛み合わせに仕上げることができます。
実際に、4本抜いて矯正治療した事例
以前、わたしが運営するクリニックに、ごぼ口の治療を希望する女子高生が矯正相談にきました。
彼女は、自分の口元が出ていることにコンプレックスがあり、前歯を引っ込めたいと強く希望していました。
そこで、わたしは上下の小臼歯をそれぞれ抜いて、前歯を引っ込める治療を提案することにしました。
なぜなら、矯正治療に必要な検査を行った結果、彼女の前歯はすでに大きく傾斜していることが分かったからです。
小臼歯の抜歯を先に行ったあと、ブラケット(または、矯正器具)を全体の歯に貼りつけて、矯正治療を行いました。
そして、矯正治療を開始して25ヶ月後には前歯を引っ込め、予定どおりキレイな口元に整えることができました。
奥歯も上下に山と谷がキレイに合った状態で、しっかりと噛めています。ごぼ口が改善できたことで、彼女も非常に喜んでいます。
まとめ
「歯のデコボコが著しいケース」や「ごぼ口」の治療を行う際、上下の小臼歯を抜いて矯正を行うことが有効です。
もちろん、矯正治療を開始する際には、抜歯の必要性について適切に判断することが重要です。
よって、ごぼ口、もしくは歯のデコボコの治療を考えている方は、適切な診査・診断ができる歯科医院を選択することが最も大切です。
そして、そのような安心して治療を受けることができる歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにしてください。