矯正治療中には、顎の関節痛だけでなく、噛む時に働く筋肉に痛みが発生する場合があります。
矯正治療中の発生する頭部の筋肉痛の中には、目の前の物を真っ直ぐに見ることができないほど、強い痛みを感じることがあります。
そのため、矯正治療を開始する前に、強い筋肉痛が治療中に発生した際の対処法について知っておくことが大切です。
ここでは、そのような矯正治療中に起こった筋肉痛を、効果的に和らげることができる「クール・アンド・ストレッチ法」について説明します。
矯正治療中に起こる筋肉の痛み
矯正治療中、特に若い女性では、筋肉痛に悩まされることがあります。矯正治療によって噛み合わせが変化することで、今までとは異なる筋肉の部分を使って噛んだり、動かしたりすることを強いられるからです。
激しく動いた際に筋肉のケイレンを起こしたり、次の日に足や背中が痛かったりするのと、まったく同じ状況が噛む時に働く筋肉にも起こっているのです。
筋肉痛に有効な「クール・アンド・ストレッチ法」
トリガーポイントを探す
筋肉痛が発生した際、「トリガーポイント」を筋肉の特定部分に見つけることができます。トリガーポイントとは、「筋肉の痛みを誘発する部分」のことです。
たとえば、側頭筋(頭の横側から後にある筋肉)が筋痛を起こしている場合、指で押さえながらさわっていくと、痛みを強く感じるポイントを探し出すことができます。
しばらく指で押したままにすると、痛みが徐々に強くなり広がっていく部分です。この「ツボ」のような部分のことを、トリガーポイントと呼びます。
筋肉のストレッチを行う
トリガーポイントは、筋肉の痙攣(けいれん)が発生している部分です。そのため、足の筋肉に痙攣が起こったときと同様に、筋肉を伸ばすことが有効です。
たとえば側頭筋においては、人差し指から薬指までの腹で、先程見つけたトリガーポイントをグッと押したままの状態にすることで、筋肉を上手く伸ばすことができます。
この際、筋肉をもんだり、指を激しく動かしたりしないことがポイントです。3本の指で1回につき10〜20秒ほど押したままの状態をキープすることを、数回繰り返すようにしてください。
トリガーポイントを冷やす
筋痛のトリガーポイントを指で押さえる際、痛みが強く十分に筋肉を伸ばすことができないことがあります。その際、有効なのが、筋肉を冷却することです。
タオルを水道水で濡(ぬ)らしたあと、トリガーポイントの部分をよく冷やします。このようにすることによって、痛みが少ない状態でしっかりと筋肉を押さえることができるようになります。
この時、注意すべきことは「冷やす温度」です。氷や氷水などを用いて冷やすと、血行障害(けっこうしょうがい)を起こしてしまう危険性があるからです。
冷やしすぎによる血行障害は、筋肉の回復を遅くしたり、凍傷など新たな問題を発症したりするリスクがあるので、十分に注意が必要です。
そのため、筋肉を冷やす際の温度は、水道水くらいが適温といえるでしょう。
まとめ
矯正治療中の筋肉痛には、クール・アンド・ストレッチ法が有効です。この方法は、家庭で気軽に行えるだけでなく、非常に効果的です。
そのため、矯正治療中の筋肉痛に悩んでいる方は、このクール・アンド・ストレッチ法を、数日間試して見ることをオススメします。