お子さんの前歯のへこみ(または、くぼみ)は、時には下アゴのゆがみの原因となるので注意が必要です。なぜなら、放置すると、顔の非対称を起こしてしまう心配があるからです。
そのため、お子さんに前歯のへこみがある場合は、矯正医に一度相談することをオススメします。そして、問題があると判断された場合は、早期に対応することが大切です。
ここでは、お子さんの前歯のへこみを効果的に治す方法について説明します。
前歯のへこみによる影響
見た目の問題
前歯にへこみがあると、「歯抜け」に見られ、大きな見た目の問題が生じます。
前歯のへこみが、歯抜けに見えてしまう原因の1つに、「陰影(いんえい)」が挙げられます。裏側にある歯に光が当たらないため、暗く歯がないように見えてしまうのです。
もう1つの原因として、「着色」が挙げられます。前歯がへこんだ部分は、清掃が行いにくいため、茶しぶなどの着色がつきやすく、やはり暗く歯がないように見えてしまうのです。
顔のゆがみ
お子さんの前歯のへこみで、もっとも注意すべきは「下アゴのゆがみ」です。なぜなら、裏側にある歯が衝突して、まっすぐ噛めないケースが少ないないのです。
そのため、口を閉じた状態で、下アゴを横にズラした姿勢でいることを強いられます。この状態は、「下アゴをゆがませる矯正装置を、1日中つけていること」とまったく同じことです。
そのまま放置すると、下アゴが骨格的にゆがんでしまう、つまり顔の非対称を招いてしまう心配があるので、注意が必要です。
お子さんの前歯のへこみに対する矯正治療
私のクリニックでは、お子さんお前歯のへこみを、「リンガルアーチ」という矯正装置を用いて治療しています。なぜなら、前歯を弱いチカラで動かすことができるため、歯にとって非常に負担が少ない治療法だからです。
リンガルアーチを用いた治療では、奥歯から前歯の裏側に伸びる針金を利用して、前歯のへこみを改善します。ただし、この装置が有効なのは、前歯を並べるスペースが十分にある時期に限られます。
そのため、犬歯の生え代わりのタイミングを利用することで、リンガルアーチを使って前歯のへこみを効果的に治すことができます。
実際に、前歯のへこみを治療した事例
以前、私が運営するクリニックに、前歯にへこみがある女の子が矯正相談にきました。女の子の前歯のデコボコの様子を心配して、母親が連れてきたのです。
そこで、私は矯正治療をすぐに開始するよう提案することにしました。なぜなら、前歯のへこみが衝突して、女の子は下アゴを真っ直ぐに閉じることができなかったからです。
治療の必要性について説明すると、直ぐに矯正治療を開始することにしました。また、矯正治療に必要な検査を行った結果、女の子の前歯は成長過程にあり、歯根がまだ非常に短いことが解りました。
そのため、歯を弱いチカラで動かすことができるリンガルアーチを用いて治療することにしました。4ヶ月かけて、治療を行った結果、女の子の前歯をキレイに並べることができました。
前歯の衝突がなくなったことで、女の子は真っ直ぐな位置に下アゴを噛みこむようになりました。このようにアゴがゆがむ心配がなくなったことで、女の子もその母親も非常に安心しています。
まとめ
前歯のへこみには、リンガルアーチを使った治療が効果的です。リンガルアーチを用いることで、弱いチカラで安全に前歯のへこみを改善することができます。
ただし、リンガルアーチを用いる治療は、乳歯の生え代わりのタイミングを考慮して行うことが大切です。リンガルアーチを用いることができるのは、前歯を並べるスペースが十分にある時期に限られるからです。
そのため、お子さんの前歯のへこみを心配されている方は、子どもの歯並び育成を行っている歯科医院で、定期的な歯並び確認を行うことが重要です。
まずは、そのような子どもの歯並び育成において実績のある歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにして下さい。