お子さんの歯のデコボコ(あるいは、乱杭歯)の多くは、「アゴ骨が狭く、そのため歯がキレイに並ぶためのスペースが不足している」ことが原因で発生しています。
そのため、お子さんのアゴの成長を利用して、アゴ骨を広げることで効果的です。そうすることで、歯のデコボコを並べるためのスペースを獲得することができます。
ここでは、お子さんの歯のデコボコ治療に有効な「ポーター型拡大装置」について説明します。
ポーター型拡大装置とは
「ポーター型拡大装置」は、お子さんのアゴ骨を広げるために用いる矯正装置です。成長期のお子さんの矯正治療に、非常に有効です。
奥歯にセメントでしっかりと固定して用いる装置であるため、単にアゴ骨を広げるだけではなく、奥歯のねじれや傾きを同時に修正することができます。
ただし、固定式であるため、取り外しできる装置を異なり、食事や歯磨きのときに取り外すことはできません。しかし、その分早く、大きく、確実に拡大することができるといえるでしょう。
そのため、私のクリニックでは、特に乳歯の奥歯が交換する時期が迫っているお子さんの場合には、積極的に使用するようにしています。
ポーター型拡大装置を用いた治療
アゴ骨の拡大
ポーター型拡大装置の調整は、毎回、歯科医院で行います。6〜8週間毎に、口の中でワイヤーを曲げることによって、アゴ骨を広げるためのチカラを加えるのです。
しかし、私のクリニックでは、口の中で調整を加えることは行っていません。お子さんには、少し嫌な思いをさせてしまいますが、装置を一旦外してから調整を加えるのです。
そして、セメントで再び固定するようにしています。なぜなら、口の中では細かな調整や、加えた調整の確認をすることが難しいと考えているからです。
拡大装置の調整が不適切であった場合、奥歯が傾斜したり、噛む高さ左右で異なったりしてしまうことがあります。それを確実に防ぐために、私のクリニックでは調整毎に一旦外すことにしているのです。
前歯の整列
アゴ骨を拡大してスペースをつくっただけで、その後口唇や舌のチカラによって自然とデコボコが並んで来ることも少なくありません。
しかし、歯のデコボコが強かったり、歯と歯の間にある隙間が大きかったりする場合には、積極的に矯正器具(ブラケット)をつけて整列します。
なぜなら、矯正器具をつけて歯を並べることで、アゴ骨を前後的にも大きくすることができるからです。そうすることで、その後に生えてくる犬歯がスムーズに出てきやすい状態にできるのです。
ポーター型拡大装置を用いて治療を行った事例
以前、私が運営するクリニックに、前歯にデコボコがある女の子が矯正相談にきました。女の子の著しいデコボコの様子を心配して、母親が連れてきたのです。
まず、矯正治療に必要な検査を行うと、女の子はアゴの形態が小さいタイプであることが分かりました。そのため、ポーター型拡大装置を用いて、アゴ骨を大きくすることを提案することにしました。
なぜなら、奥歯の乳歯が交換する時期がせまっており、アゴ骨の拡大を急ぐ必要があると判断したからです。装置について説明すると、女の子はすぐに矯正治療を開始することを決心しました。
8か月の間ポーター型拡大装置を用いてアゴ骨の広げた結果、予定どおり前歯のデコボコを並べるためのスペースをつくることができました。
矯正治療後に、治療前の歯並びの写真を見せると、女の子も母親もあまりの変わりように驚いていました。
まとめ
お子さんの歯のデコボコには、ポーター型拡大装置が有効です。お子さんの狭くなったアゴ骨を広げて、キレイに歯を整列することができます。
お子さんの歯のデコボコ治療を考えている方は、子どもの歯並び育成において実績のある歯科医院を選択することがオススメです。
まずは、そのような安心して矯正を任せられる歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにしてください。