最近では、ブリッジなど差し歯(あるいは、冠)の治療を行う際、事前に部分矯正で歯の位置を整えて、それからブリッジを入れるケースが少なくありません。
なぜなら、その方が審美的にも、機能的にも優れた差し歯にすることができるからです。そして、そのようにすることで、歯を健康な状態で長期的に維持することもできるようになるからです。
このように、差し歯の前に部分矯正をすることで、たくさんのメリットを得ることができます。ここでは、ブリッジを行う前に部分矯正を行うメリットと、その方法について説明します。
ブリッジを入れる前に、部分矯正を行うメリット
審美性の向上
事前に部分矯正をすることで、キレイなブリッジを入れることができます。たとえば、八重歯など前歯にデコボコがある場合です。
前歯にデコボコがある状態で差し歯を入れようとしても、デコボコの差し歯を装着せざるを得ません。そこで、事前に部分矯正で歯を並べることにより、歯並びが整った差し歯を入れることが可能になるのです。
清掃性の向上
歯のデコボコがある状態では、歯や歯ぐきの清掃を十分に行うことができません。さらに、その部分に差し歯が入ると、さらに清掃が難しくなることが心配されます。
部分矯正を行うことによって、歯並びを整えることができれば、ブリッジを清掃が行いやすい状態で入れることができるようになります。
そうすることで、虫歯や歯周病を効果的に予防することができます。つまり、差し歯だけでなく、歯を長期的に健康な状態に保つことができるのです。
噛み合わせ機能の向上
歯を長期的に健康な状態に保つためには、前歯と奥歯がそれぞれの機能を果たすことが重要です。たとえば、前歯が下アゴの動きを誘導する機能です。
噛んだり、歯ぎしりしたりする際の前歯には、「横方向のチカラが奥歯に加わらないように、下アゴの動きを誘導する」機能が求められます。しかし、八重歯があったり、前歯の角度が悪かったりすると、この誘導する機能をブリッジに組み込むことが難しくなります。
部分矯正を事前に行うことによって、この誘導機能を差し歯に理想的に加えることができます。そのようにすることで、歯を長期的に健康な状態に保つことができるのです。
差し歯治療のための部分矯正
通常、差し歯を行う歯医者と、部分矯正をする歯医者が異なります。そのため、重要となるのが「医院の連携」と「治療ゴールの設定」です。
2つの歯科医院が、同じゴールを目指して治療計画を実行することが成功の鍵です。そのため、私達の医療チームでは「患者さんの模型を使って、治療計画を立てる方法」を採用しています。
これは、模型に模擬治療する方法です。つまり、模型の歯を移動させ差し歯を入れることによって、治療後の見た目の状態や、ブリッジの機能を診査するのです。
そのようにすることで、患者さんが治療後の状態をイメージできるだけでなく、異なる歯医者が同じゴールに向かってことができるようになるのです。
実際に、差し歯の治療と、矯正治療を行った事例
以前、私のクリニックに、成人の男性が矯正相談にきましました。前歯のブリッジを入れる際に、「部分矯正を行った方が良い」とかかりつけの歯医者ですすめられたのです。
そこで、彼の歯型模型をつかって模擬治療を行ったうえで、前歯の部分矯正を提案することにしました。なぜなら、そのほうが部分矯正の効果について理解し、イメージしやすいと考えたからです。
彼に、この模擬治療を見せて部分矯正を提案すると、治療開始することを快く選択しました。5ヶ月間にわたって部分矯正を行い、そのあと最終的なブリッジを装着しています。
部分矯正を事前に行ったため、歯並びが整ったブリッジを装着することができました。また、機能が備わったブリッジを入れることができたため、その後も健康な状態で維持できています。
まとめ
事前に部分矯正を行うことで、キレイで機能性のあるブリッジにすることができます。さらに、歯の周囲の状況が整えられているため、その後も健康な状態で維持することが可能になります。
よって、差し歯の治療が必要になった方は、部分矯正の必要性について検討してから行うことが大切です。
そして、その際は「差し歯のための矯正」について実績のある歯科医院を必ず選択するようにして下さい。