お子さんの受け口(または、反対咬合)は、大きく2つのタイプに分けることができます。「骨格の問題があるタイプ」と、「骨格の問題がないタイプ」です。
骨格の問題がないタイプは、比較的症状が軽い受け口ということができます。そのため、簡単な矯正装置を使って、お子さんの受け口を改善することができます。
ここでは、その中でも、お子さんの受け口治療に多く使用されている「ユーティリティアーチ」について説明します。
ユーティリティアーチとは
ユーティリティアーチを使う治療とは、上アゴの前歯4本に矯正器具(ブラケット)を貼り付けた後、ワイヤーを使って前歯の角度と位置を修正する治療法です。
この方法は、子どもの負担も少なく、しかも確実に効果を発揮することができ方法です。そのため、子どもの受け口治療では頻繁に用いる便利な方法です。
一般的には、1ヶ月毎に歯科医院に通ってワイヤーを調整することが必要です。そして、前歯に加わるチカラが毎回少しづつ強くなるように、ワイヤーを調整するのです。
ユーティリティアーチを使った受け口治療
「骨格の問題がないタイプ」の治療
骨格の問題がないタイプとは、上下アゴの大きさに異常がない受け口のことです。主に前歯の角度が悪かったり、前歯の位置が悪かったりすることで、受け口の噛み合わせになっているタイプです。
そのため、上アゴの前歯の角度や位置を修正するだけで、受け口を改善することが可能です。しかも、骨格的問題がないので、比較的短い期間で受け口を改善することができるのです。
骨格の問題があるタイプの治療
骨格の問題があるタイプとは、上下いずれかのアゴの大きさに問題がある場合の受け口です。上アゴの骨が小さい場合と、下アゴの骨が大きい場合とがあります。
いずれにせよ、上下のアゴの大きさを合わせるためには、上アゴを広げたり前方に誘導したりする必要があります。この場合にも、ユーティリティアーチは非常に有効です。
しかし、骨格の問題があるタイプでは、ユーティリティアーチだけで受け口を解決することはできません。
なぜなら、ユーティリティアーチだけで受け口を改善使用とした場合、前歯が傾斜しすぎた格好になってしまうからです。
そのため、骨格の問題がある受け口の治療では、ユーティリティアーチで前歯の角度を修正するだけでなく、上アゴ全体を前方に大きくするための装置を同時に用いることが必要になります。
例えば、プロトラクター(または、上顎前方けん引装置)を同時に用いる方法です。ユーティリティアーチとプロトラクターを同時に用いることによって、受け口を骨格のレベルから改善することができるのです。
ユーティリティアーチを用いて治療を行った事例
以前、私が運営するクリニックに、受け口の男の子を連れた母親が矯正相談にきました。男の子は痛みに対して非常に弱いらしく、できる限り負担の少ない方法で治療することを母親は希望していました。
そのため、ユーティリティアーチを使った受け口治療を提案しました。なぜなら、ユーティリティアーチを使った方法は、装置の違和感も少なく、前歯を押す力を細かく調整することが可能だからです。
ユーティリティアーチを約8ヶ月間使用することで、男の子の噛み合わせはとてもキレイな状態になりました。治療結果だけでなく、治療中に男の子が痛がったりしなかったことに、男の子と母親は非常に喜んでいます。
まとめ
お子さんの受け口には、ユーティリティアーチを用いた矯正治療が有効です。ユーティリティアーチを用いた方法は、お子さんの負担が少なく、しかも効果的な治療法です。
お子さんの受け口が気になっている方は、受け口治療について実績ができる歯科医院を選択することが重要です。そのような歯科医院を見つけて、矯正相談に行くようにしてください。