お子さんの口の中で普段注意して見ておくべきことは、「歯並びや噛み合わせの問題」だけではありません。「呼吸する・食べる・飲み込む・話をする」などの口の機能についても、十分に注意しておくべきです。
なぜなら、何らかの原因によって、お子さんの口の機能が正常に働いていないことがあるからです。たとえば、舌の裏側にある小帯に形態異常があるケースが挙げられます。
このように口の中に形態異常があると、お子さんの口の機能にもさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。
ここでは、その中でも、お子さんの舌小帯に異常がある場合の影響について説明します。
舌小帯の異常とは
舌を上方に持ち上げたとき、舌の根元に「細いヒダ」があることが分かります。この舌の裏側にあるヒダのことを、舌小帯(ぜつしょうたい)と呼びます。
通常、このヒダが舌の動きを邪魔することはありません。しかし、お子さんの中には、「ヒダが舌の先端まで及んでいる」もしくは、「ヒダが短くて伸びない」などといった異常がある場合があります。
舌小帯に異常があると、お子さんの口の機能にさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、異常が認められる場合には、適切な時期に対応する必要があります。
舌小帯に異常がある際の悪影響
「歯並び・噛み合わせ」への悪影響
舌小帯に異常があると、歯並び・噛み合わせに悪影響があります。なぜなら、舌が十分に動かないために、アゴの成長が不十分となる傾向があるからです。
そのため、舌小帯に異常があるお子さんでは、「出っ歯」や「前歯が上下に噛まない状態(開咬・かいこう)」などの噛み合わせの異常を認めることが非常に多いです。
そのため、舌小帯の問題は早めに対応して、アゴが成長することを邪魔しないようにすることが非常に大切なのです。
「飲み込む」機能への悪影響
舌の小帯に異常があると、飲み込む動作に悪影響があります。なぜなら、飲み込む際に、舌を上あごの天井部分に強く押し当てて飲み込むことができないからです。
舌小帯に異常のあるお子さんは、「食べ物を噛まずに、丸呑みする」格好で飲み込んでいます。そのため、このようなお子さんは、飲み込むという動作を繰り返すだけで、非常に疲れてしまいます。
よって、お子さんに舌小帯の異常がある場合、早めに改善することが大切です。そうすることによって、お子さんは食べ物や唾液(だえき)をスムーズに飲み込むことができるようになるのです。
「食べる」機能への悪影響
舌の小帯に異常があると、食べる動作に悪影響があります。なぜなら、舌が十分に動かないために、食べ物を効率的に歯の上に運ぶことができないからです。
そのため、「食事に時間がかかる」「食べ物を噛むことができない」「たくさん食べることができない」などといった問題が起こってきます。当然、このような状態が続くと、全身の成長や発育にも影響してくることが心配されます。
よって、舌小帯に異常があるお子さんでは、早期に問題を改善して、スムーズに食事ができるようにすべきなのです。
「発音する」機能への悪影響
舌の小帯に異常があると、発音に悪影響があります。なぜなら、舌を持ち上げながら発音することが困難だからです。発音の中には、上あごの前歯、もしくは天井部分に舌を触れながら発音する必要があるものがあります。
たとえば、「サ行」や、「タ行」の発音です。舌小帯に異常があると、これらを発音するときに、「舌たらず」な発音になります。そのため、周囲の人は非常に聞き取りにくいのです。
よって、舌小帯に異常があるお子さんでは、舌小帯の問題を改善したうえで、発音についての訓練が必要になります。
「呼吸する」機能への悪影響
舌の小帯に異常があると、鼻呼吸にも悪影響がある場合があります。なぜなら、舌が上あごを刺激することが少ないために、上あごと鼻腔の発達が不十分になってしまうからです。
上あごや鼻腔が狭いと、鼻からスムーズに息をすることができません。そのため、舌小帯に異常を抱えたお子さんでは、鼻からではなく口で呼吸している場合が多いのです。
そのため、舌小帯の異常があることが原因で、口で呼吸しているあるお子さんは、矯正治療で上あごを十分に広げる必要があるのです。
まとめ
お子さんが将来にわたって健やかに成長するためには、「呼吸する・食べる・飲み込む・話をする」などの機能を正常に行うことが大切です。
そして、お子さんが正しい口の機能を獲得するためには、子どもの口の機能について理解し対応ができる歯科医院で定期的にチェックすることが大切なのです。
お子さんの口の機能について関心がある方は、「子どもの口の機能を育成する」ことについて実績のある歯科医院を選択することが重要です。
そのような歯科医院を見つけて、定期的に通院することをオススメします。