受け口のお子さんは、すでに骨格の問題を抱えている可能性が高いです。そのため、受け口をもつお子さんの場合、小児期からの早期対応が必要です。
なぜなら、骨格的な異常を根本的、および積極的に改善することができるのは、この時期だけに限られているからです。
ここでは、受け口をもつお子さんの骨格的な問題を解決するために有効な装置、つまりプロトラクター(または、上顎前方けん引装置)について説明します。
プロトラクターとは
小児期にプロトラクターを用いる理由
上あごの大きさの異常
受け口のお子さんの特徴は、骨格的に上あごの骨が小さいことです。そのため、上下の前歯の噛み合わせが、前後が逆の噛み合わせになっています。
このようなお子さんの場合、上あごを前方に大きくして、前歯の噛み合わせを早急に改善する必要があります。
なぜなら、受け口の状態を放置することは、「上あごの成長を邪魔する装置と、下あごの成長を強める装置を24時間装着している」ことと同じだからです。つまり、つまりお子さんの受け口を放置すると、受け口が悪化する可能性が高いということです。
よって、お子さんの受け口はプロトラクターを用いて、早期に改善する必要があるのです。
上あごの成長
お子さんの上あごが、この後「自然に成長し、大きくなること」はほとんど期待できません。なぜならば、「上あごの成長の90パーセント以上は、すでに5歳の時点で完了している」からなのです。
そのため、お子さんの上あごの大きさが不足している場合、上あごの大きさはプロトラクターなどの装置を使って、人の手で改善する必要があります。
ただし、上あごを大きくすることができる期間にも期限があります。つまり、プロトラクターを使ってお子さんの上あごを大きくすることができるのは、小児期に限られているのです。
よって、上あごが骨格的に小さいお子さんには、早急にプロトラクターを使って上あごを大きくすることが必要なのです。
横顔のバランス
お子さんの上あごが小さい場合、口元の様子に違和感を感じることが多いです。なぜなら、上あごが後退しているので、鼻下の部分がへこんだ様子の口元になるからです。
この場合、上あごを前方に、プロトラクターで引っ張ることが非常に効果的です。そのようにすることで、口元の印象が非常に整った状態になります。
お子さんの上あごが後退したまま放置することは、あまり得策ではありません。なぜなら、プロトラクターを使用しないまま矯正治療を行っても、お子さんの口元の印象は改善しないからです。
そのため、プロトラクターを用いて、早期に口元の状態を改善する必要があるのです。
実際にプロトラクターを用いて矯正した事例
以前、私が運営するクリニックに、受け口の女の子を連れた母親が矯正相談にきました。母親は、幼い頃に自分も受け口の矯正をしてキレイになったので、「子どもにも、受け口を早い時期から治してあげたい」と望んでいました。
まずは、矯正治療に必要な検査を行い、その結果「上あごの大きさに問題があるタイプ」であることが分かりました。そのため、プロトラクターを使用した矯正治療を提案することにしたのです。
プロトラクターを約6ヶ月使用した結果、女の子の受け口が改善したと同時に、口元の様子も非常にバランスがとれた格好になりました。女の子も母親も、「噛み合わせだけでなく、口元の様子も改善した治療結果」を非常に喜んでいます。
まとめ
受け口のお子さんには、早い時期からの矯正治療が必要です。中でも、上あごの大きさに問題があるタイプのお子さんには、プロトラクターを使った矯正治療がオススメです。
なぜなら、プロトラクターを使用することで、上あごの骨が小さいという問題を根本的に解決することができるからです。
お子さんの受け口を心配されている方は、「子どもの受け口の治療について実績のある歯科医院」を選択することが大切です。まずは、そのような信頼できる歯科医院を見つけて、矯正相談に行くようにしてください。