食事の際に、「クチャクチャ」「ペチャペチャ」音をたてて食べる人がいます。このように、音をたてながら食事する人のことを、周囲では「クチャラー」と呼びます。
クチャラーは、食事中のクチャクチャと音で、周囲の人を不愉快にします。仲間同士集まって、「ワイワイ」「ガヤガヤ」と騒がしく食事する場合は目立たないかもしれません。
しかし、披露宴やお見合いの席、もしくはデートの際の食事では非常に危険です。なぜなら、クチャラーが食中にたてる音は、非常に耳障(みみざわ)りな音だからです。そのため、クチャラーの発する音が気になりだすと、料理や食事中の会話にまったく集中できなくなってしまうのです。
ただし、食事の席で楽しめていないのは、クチャラー本人も同じです。なぜなら、クチャラー本人も料理を美味しいと感じていなかったり、食事に集中できていなかったりする可能性があるからです。
ここでは、クチャラーが料理を十分に楽しめていない理由について説明します。
クチャラーの原因
クチャラーになる原因として、「食べ方を身につける時期に、しっかりとした食べ方の習慣を獲得できなかった」という説が最も有力です。
そのため、クチャラーの中には、食べ方が下手なだけでなく、アゴ骨やその周りの筋肉の発達が不十分であるケースを多く見かけます。
食べ方が下手というのは、噛むことが苦手というだけではありません。口の中に食べ物を取りこむ捕食(ほしょく)行動、効率的に食べ物と噛みくだく咀嚼(そしゃく)行動、および噛みくだいた食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)行動のすべてがスムーズではないということを意味しているのです。
クチャラーが食事を楽しめていない理由
鼻呼吸が苦手
クチャラーの多くは、普段、口唇が開いている状態です。なぜなら、「鼻で呼吸することが苦手」で、口から息をしているケースが非常に多いからです。
そのため、鼻で呼吸できないクチャラーは、料理の味も十分に味わうことができていないということができます。なぜなら、鼻呼吸しながらでないと、料理の味を堪能(たんのう)することができないからです。
たとえば、カゼや花粉症による鼻づまりで、鼻呼吸が十分に行えないという状況を、誰しも経験したことがあるはずです。そのような状態で食べる食事は、何を食べても美味しくありません。
それは、体調が悪いという理由だけでなく、鼻呼吸できないということが大きく関係しています。なぜなら、料理の味を十分に感じるためには、鼻で感じるニオイが大きく影響しているからです。そのため、鼻がつまっている状態だと、料理をほんとうに美味しいと感じることができないのです。
クチャラーは、カゼや花粉症に関係なく、口で呼吸していることが多いです。それは、食事中にも言えることです。そのため、クチャラーは、料理の味を本当の意味で味わうことができていないのです。
噛むことが苦手
クチャラーが食事を楽しめていない理由として、次に挙げられるのが「クチャラーは、噛むことが苦手である」ということです。
クチャラーは、食事中の舌や口唇、頬の使い方が非常に下手です。そのため、食材を細かく噛みくだいたり、すりつぶしたりすることを効率良く行うことができないのです。
料理を美味しく感じることには、食材をスムーズに細かくすることが大きく関係しています。
たとえば、焼き肉のホルモンや、お菓子のグミが苦手という人が、あなたの周囲にもいるのではないでしょうか? これらの食材が苦手という人が多いのは、上手に噛みきることができないからです。
そして、噛んで効率よく細かくできないと、味が無くなっても飲み込むことができなかったり、口の中の異物感にすべての意識がもっていかれたりしてしまいます。そのため、料理に集中できなくなってしまうのです。
クチャラーが苦戦するのは、なにもホルモンやグミのような難敵だけではありません。噛むことが苦手なクチャラーにとって、普段の食べ物全部が難敵である可能性があるのです。
そのため、クチャラーは、普段の食事を本当の意味で楽しむことができていないということができるのです。
飲み込むことが苦手
クチャラーが食事を楽しめていない理由として、最後に挙げられるのが「クチャラーは、飲み込むことも苦手である」ということです。
みなさんは、理解しにくいかもしれませんが、クチャラーの多くは食べものを飲み込むタイミングを測ることに苦労しています。なぜなら、クチャラーは、食べ物を細かく噛みくだいたり、すりつぶしたりすることが苦手だからです。
そのため、いつまでもクチャクチャと噛みつづけたり、大きな塊(かたまり)のまま飲み込もうとしたりするのです。
きっと、あなたもクスリの錠剤を服用したことがあるはずです。現在は、すでに慣れてしまったかもしれませんが、はじめて錠剤を服用した際は、両肩を持ちあげながら、頭を前に伸びだしながら飲み込んだはずです。中には、その時、涙目になった経験がある人も多いはずです。
このように、大きな塊を飲み込むことは、非常に負担が大きな動作です。しかし、クチャラーでは、このような疲れる動作を、頻繁に行う必要があるのです。当然、そのような状況で、食事中の会話や料理を楽しむ余裕などあるはずがありません。
そのため、クチャラーは、普段の食事や食事中の会話を、十分に楽しむことができていないということができるのです。
まとめ
クチャラーの改善には、多くの場合、矯正治療が有効です。鼻腔を広げたり、歯並びや噛み合わせを整えたりすることで、鼻呼吸しやすくなるからです。
ただし、クチャラーの問題は非常に根深いため、単に歯並びや噛み合わせを整えるだけでは解決しません。同時に、舌や口の周りの筋肉などの機能訓練が必要になります。
クチャラーの改善には、矯正治療だけでなく、口の機能訓練に積極的に取り組んでいる歯科医院を選択する必要があります。クチャラーが気になる方は、矯正相談を受けられることをオススメします。