外科矯正治療は、矯正治療と同時に全身麻酔で行う外科手術を併用する治療法です。
この外科矯正治療では、顎の外科手術の時以外にも、さらに数日間の入院が矯正治療終了後に必要になるかもしれません。
ここでは、外科矯正治療後に行う「プレート除去」について説明します。
プレート除去とは
例えば、腕を骨折した人が、「折れた骨を、ボルトで固定している」と言うことがあります。外科矯正治療でも、腕の骨折の時と同じように、金属製のプレートやボルトで、切り離したあごの骨を固定するのです。
骨折が治った後も、そのままボルトを入れたままにする人がいるように、外科矯正治療が終わってもプレート入れたままにする人もいます。
このように、プレートをあごの骨に放置しておいても、特に問題が発生することはありません。しかし、私は、矯正治療が終了した時にプレートを外すことについて相談します。
なぜなら、虫歯や歯周病が進行した場合、あごの骨に残したプレートに細菌感染が到達する可能性があるからです。
プレートを除去する方法
全身麻酔を行って除去する方法
外科矯正治療が終了した後、あご骨に残るプレートとボルトを、全身麻酔を行って除去する医療機関があります。
全身麻酔を行うため、数日間の入院期間が必要になります。つまり、外科矯正治療において、全部で2回の全身麻酔と入院が必要になるということです。
このプレートやボルトを取り除く際の入院について、患者さんが事前に確認ができていないケースが少なくありません。
外科矯正治療を考えている方は、矯正相談を受ける際には、必ず入院回数について確認することが大切です。
外来で除去する方法
私が外科処置をお願いしている医療機関では、プレートとボルトを除去する際、全身麻酔を使用していません。ただし、全身麻酔ではなく、静脈内鎮静法という別の麻酔方法を採用しています。
静脈内鎮静法とは、腕の静脈から鎮静剤を入れることによって、「ボーっとなった状態」で外科処置を行う方法です。鎮静剤の効果で意識が遠のくため、患者さんはほとんど痛みを感じることはありません。
もちろん、当日のクルマの運転は控えてもらいますが、患者さんはその日に帰宅することができます。
吸収性のプレート
実は、外科矯正治療が終了しても、プレートやボルトを除去する必要ない場合があります。それは、「カラダに吸収されるタイプ」のプレートやボルトを使用したケースです。
この種のプレートやボルトは、徐々に身体の中に吸収されていくので、最後は完全に無くなってしまいます。そのため、プレートやボルトを改めて除去する必要がないのです。
ただし、個人的な意見になりますが、吸収するタイプのプレートを使用することには不安を感じます。なぜなら、このタイプのプレートやボルトは、折れる可能性があるからです。
現在使用されているプレートやボルトは、改良されて折れる心配はないようです。しかし、私はいまでも、プレートやボルトは金属製の方に安心感を感じます。
まとめ
あご骨を固定するために使用したプレートやボルトは、外科矯正治療が終了した後には取り除くことがオススメです。その際、全身麻酔が必要なのか、それとも鎮静剤を使った方法で除去できるのかは、医療機関によって異なります。
特に、全身麻酔を行って除去する場合、事前に確認しておくことが大切です。なぜなら、学校や仕事のスケジュールと、入院のための日程を調整する必要があるからです。
そのため、外科矯正治療が必要と思われる方は、矯正相談を受ける際には、「プレートやボルトを除去する際の方法」についてよく確認する必要があります。