口を軽く閉じたときに突出した口元になることを、俗に「ごぼ口(ぐち)」といいます。もともと日本人は、骨格的にごぼ口になりやすいという特徴をもっています。そのため、自らのごぼ口を気にしている方は非常に多いのです。
しかし、「ごぼ口が矯正治療で改善することができる」ということを、ほとんどの方が知りません。そして残念なことに、ごぼ口の矯正をあきらめてしまっている方が多くいるのです。
そうでなくても、適切な矯正治療を受けられなかったことで、「歯並びは良くなったのに、口元の様子が改善していない」という結果になり、落胆している患者も少なくありません。
ごぼ口を改善する方法には、複数の治療方法があります。その中でも、その人にあった治療方法を選択することが非常に大切です。
ごぼ口の治療の中でも、口元の印象を確実に変化させることができる「外科矯正治療」は最適な治療法の1つです。ここでは、その外科矯正治療を用いてごぼ口を改善する方法について説明していきます。
ごぼ口の特徴
ごぼ口は、専門的には「上下顎前突症(じょうがくぜんとつしょう)」もしくは「両顎前突症(りょうがくぜんとつしょう)」と呼ばれます。
ただし、上下のあごが前方に出ているというわけではありません。むしろ下あごの大きさが、かなり小さいケースの方が圧倒的に多いのです。
ごぼ口の原因には、主に2つのことが考えられます。1つ目の原因は、「上下の前歯がひどく前傾していること」です。前方に倒れた前歯が、口唇を押し出すので口元が突出した状態になってしまうのです。
2つ目の原因は、「下あごの形が小さいこと」です。特に下あごの先端の形態がしっかりとしていない場合では、下あごがひどく下がっているような印象になります。そのため、下あごの様子とは逆に、口元の突出がより強調されてしまうのです。
ごぼ口の矯正に有効な外科矯正治療
外科矯正治療は、通常の矯正治療だけではなく、全身麻酔を伴う外科手術も同時に行う治療方法です。
また外科矯正治療は、歯並びだけではなく、あご骨の位置についても変化させることができる方法です。そのため、口元の様子をハッキリと改善することができるのです。
実際の矯正治療では、まず前歯の傾斜を立てることを行います。このことによって、傾斜した前歯が口唇を押し出すという問題をある程度解決することができます。
また、その後の外科手術では、「下あごを前方に移動させること」と「下あごの先端の形態を整えること」を同時に行います。そうすることによって、口元の突出感は劇的に改善され、キレイな横顔の印象を手にすることができるのです。
実際にごぼ口を治療した事例
以前、私の運営するクリニックに、ごぼ口をきにしている高校生が矯正相談に来ました。彼は、「顔のことで同級生からからかわれることが多く、学校が楽しくない」という悩みを抱えていました。そのため、その頃の彼の様子は、どんよりとして非常に暗い印象でした。
彼の悩みをよく聞いた結果、口元の様子をしっかりと変えることができる外科矯正治療について紹介しました。ごぼ口が治療できると分かった彼は、非常に喜びました。そして、外科矯正治療を受けることを決心したのです。
実際の矯正治療では、「犬歯の隣にある小臼歯を左右上下それぞれ抜いて、前歯を立てること」を行いました。その後の外科手術では、「下あごを前方に位置させること」と、「下あごの先端の形を修正すること」を行っています。
矯正治療が終了すると、キレイな口元になったことに本人は大変喜んでいました。矯正治療中から、徐々に同級生からからかわれることは少なくなり、彼自身のコンプレックスが徐々に薄れてきました。
さらに矯正治療終了後の彼は、以前とは比較にならないほど明るい様子でした。表情が豊かになり、よくしゃべるようになったのです。
まとめ
ごぼ口の治療には、外科矯正治療が非常に有効です。なぜならば、歯並びをキレイにするだけでなく、口元の印象を大きく改善することができるからです。
外科矯正治療を受けることができるのは、国から認可を受けた歯科医院に限定されます。突出した口元が気になる方は、まずは外科矯正治療を受けることができる歯科医院に行き、そちらで矯正相談を受けることがオススメです。