歯のデコボコは、アゴ骨が小さく、歯がならびきれていないことが原因です。
最近では、日本人のアゴも、徐々に小さくなってきている傾向があります。そのため、歯のデコボコを持ったヒトの数が増加し、デコボコの程度も強くなる傾向にあるのです。
歯のデコボコは、矯正治療でキレイにすることができます。デコボコが軽度であれば、歯を抜かずに並べることができるかもしれません。
しかし、デコボコの状態が比較的強く、そのデコボコを無理に並べようとすると、深刻な問題が発生する危険性があります。
ここでは、歯のデコボコを無理に並べると発生するトラブルについて説明します。
歯並びへの悪影響
前歯の傾斜
歯のデコボコを無理に並べて起こるトラブルとして、最初に挙げられるのが「前歯の傾斜」です。狭いアゴ骨に、歯を無理に並べようとしても、前歯が大きく倒れてしまう危険性が高いのです。
その大きな原因は、前歯の形態にあります。前歯の頭部が比較的大きいのに対して、歯の根は先細りの形態になっているからです。そのため、歯の根をどうにかアゴ骨に並べることができても、頭部が外側に広がった状態になってしまうからです。
さらに問題となるのが、見た目への影響です。前歯が強く傾斜すると、口元の突出感が強くなったり、口唇の形が崩れてしまったりするなど、顔貌への悪影響もでてくるからです。
歯根への影響
さらにアゴ骨が狭くなると、歯並びだけでなく、歯根(しこん)にも悪影響が及んできます。
たとえば、「歯根露出(しこんろしゅつ)」や「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」です。
これらの問題が発生すると、見た目の問題だけでなく、歯の寿命にも大きく悪影響を及ぼします。このように、狭いアゴ骨の中に歯を無理に並べようとすると、深刻なトラブルを招くことになるのです。
歯根露出
「歯根露出(しこんろしゅつ)」、または「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」とは、歯の根がアゴ骨から飛び出てしまったり、歯ぐきが下がってしまったりする異常のことです。
これは、狭いアゴ骨の中に、歯根を無理に整列しようとすることで起こります。たとえば、通勤時の満員電車をイメージすると、容易に理解することができます。満員電車の中で、乗客が縦横キレイに並ぼうとすると、電車から溢(あふ)れてしまう乗客がでてくるからです。
それと同様のことが、アゴ骨でもいうことができます。狭いアゴ骨の中に、歯を無理に並べようとすると、歯の根が骨から飛び出たり、溢れたりするのです。
この歯根露出や歯肉退縮のトラブルについては、とくに、成人女性で注意が必要です。なぜなら、歯根のまわりの骨が、非常に薄いというケースが少なくないからです。そのため、歯のデコボコを並べようとすると、歯根露出したり、歯肉退縮したりする危険性が非常に高いからです。
歯根吸収
「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」とは、矯正治療によって歯根が短くなってしまう異常のことです。
狭いアゴでの中に、無理に歯根を動かそうとすることで起こります。この歯根吸収についても、満員電車をイメージすると、容易に理解することができます。
なぜなら、狭いアゴ骨の中で歯を動かすことは、満員の電車の中で乗客が動くことと同じだからです。そして、満員電車の中で動こうとすると、乗客どうしが衝突したり、押しあったりするように、歯根もぶつかったり、圧迫されたりしてしまうのです。
このように狭いアゴ骨の中で、歯根と歯根が強くぶつかる格好になると、その強くぶつかる部分にある変化が起こってきます。「破歯細胞(はこつさつぼう)」という細胞が、多く発生してくるのです。
破歯細胞とは、歯根を破壊したり、吸収したりする細胞のことです。このように、歯根を破壊する細胞が周囲に集まることで、歯の根を短くてしまうのです。
まとめ
歯のデコボコは、矯正治療でキレイに治すことができます。ただし、その際は、適切に診断したうえで、治療を開始することが大切です。
なぜなら、アゴ骨と歯の大きさのバランスが悪いにもかかわらず、歯のデコボコを並べようとすると、深刻なトラブルをまねいてしまう心配があるからです。
そのため、これから矯正治療を考えている方は、まず、適切な診断を行うことができる歯科医院を見つける必要があります。
そして、そのような安心して治療を受けることができる歯科医院を選択したうえで、矯正相談にいくようにしてください。