「お子さんの永久歯が、生まれつき不足している」と聞いて心配していませんか? 生まれつき永久歯の本数が足りないということは、決してめずらしいことではないのです。
不足している歯のことを、「先天欠如歯(せんてんけっそんし)」といいます。先天欠如歯が認められる場合、その部分の乳歯を積極的に保存することを考えます。
もしくは、矯正治療で不足する部分の隙間を閉じることを検討します。ただし、先天欠如歯が発生する部位や、不足する歯の本数によっては、必要となる対応が非常に複雑になります。
ここでは、先天欠如歯の発生しやすい部位と、その際の一般的な対応について紹介します。
歯の不足が起こる部分
下アゴの前歯
最も歯の不足が起こりやすいところが、下アゴの前歯です。場合によっては、2本の不足が認められるケースがあります。
この部分の歯が不足すると、どうしても起こってくるのが、「出っ歯(または、上顎前突症)」の問題です。下アゴの前歯が不足すると、出っ歯の傾向が強くなってしまうのです。なぜなら、前歯の本数が不足することで、下アゴの前歯部分の前方への膨らみが小さくなってしまうからです。
そのため、この場合の治療としては、下アゴの歯の不足部分を仮歯でおぎなったり、上アゴの前歯の幅が狭くなるように削って、上アゴの前歯の膨らみを小さくしたりするなどの対応が必要になります。
また、もともと骨格的に出っ歯の傾向があるタイプの人で、下アゴの前歯不足が起こった場合、問題はさらに悪化します。なぜなら、出っ歯の状態が、極端に悪くなってしまうからです。
そのため、骨格的に出っ歯傾向があるケースでは、上アゴの歯を抜いて前歯を引っ込めるなど、矯正での積極的な治療が将来必要になるといえるでしょう。
上アゴの前歯
次に歯の不足が発生しやすいところが、上アゴの側切歯(そくせっし)です。側切歯とは、正中から二番目にある前歯、犬歯の隣にある前歯のことです。
側切歯の不足は、通常、片方だけに発生しますが、場合によっては両側に起こることがあります。
片側のみに発生した場合、正中の位置が歯の不足が発生する側にずれたり、顔の左右差がでたりすることがあるのです。
顔の左右差が強くなる場合は、早めに矯正治療を開始して、積極的に悪化を防ぐ必要があります。そのため、定期的に歯科医院でチェックし、手遅れにならないように注意することが必要です。
第二小臼歯
歯の不足が発生しやすい部位として、前歯の次に多いのが、小臼歯(しょうきゅうし)の部分です。
とくに、第二小臼歯と呼ばれる、前から5番目、犬歯の2つ後ろにある歯です。小臼歯の不足はバリエーションが多く、1本だけの不足から、3本、4本と不足するケースまであるのです。
この小臼歯の不足が見つかった場合、先に生えている乳歯をできるだけ残すように努めます。乳歯でも、ムシ歯がなく、根がしっかりある状態であれば、60歳、70際になるまでしっかり残るケースも少なくないからです。そのため、小臼歯の不足がある場合、歯の不足について早めに把握しておくことが、非常に大切なのです。
ただし、乳歯をうまく残すことができなかった場合、永久歯が生えそろった時点で、積極的な矯正治療が必要になります。そのときは、永久歯が生えそろった時点で、骨格や噛み合わせを分析し、具体的に治療計画を相談することになります。
まとめ
永久歯の不足については、レントゲン写真を撮って、確認しておくことが必要です。
なぜなら、乳歯を積極的に残す必要があるケース、もしくは顔の左右差がでないよう予防的な処置が必要になるケースがあるからです。
そのため、前歯が永久歯に生え代わる時期までには、歯科医院にて永久歯の不足について確認しておくと安心です。その際、必ず小児矯正において実績のある歯科医院を見つけたうえで予約をいれるようにしてください。