子供の出っ歯(または、上顎前突症)は、「歯槽性(しそううせい)」と「骨格性(こっかくせい)」の2つに分類することができます。
お子さんの出っ歯が、歯槽性もしくは骨格性なのかについては、早い段階で診断することが非常に重要です。なぜなら、骨格性の場合、矯正治療の必要性もしくは緊急性が大きく違ってくるからです。
そのため、お子さんに出っ歯の噛み合わせがある場合、できるだけ早期に診察を受ける必要があるのです。
骨格性の出っ歯
骨格性の出っ歯とは、骨格に異常がある出っ歯のことです。つまり、顎骨のサイズや、顎骨の位置に問題があり、その結果として出っ歯の噛み合わせになっているケースです。
ただし、上顎の異常が子供の出っ歯の原因になっているというケースは、非常に稀です。それより、下顎のサイズが極端に小さい、もしくは、下顎が後退していることが原因で出っ歯になっているケースが圧倒的に多いのです。
骨格性の出っ歯は放置できない
骨格性の出っ歯は、重症の出っ歯ということができます。なぜなら、骨格に異常があるため、治療が難しいからです。そして、そのまま放置すると、骨格性の出っ歯がさらに悪化する心配があるからです。
出っ歯の噛み合わせだと、下顎が後方に押さえ込まれる格好になってしまいます。そのため、下顎の成長が邪魔されてしまうのです。
よって、骨格性の出っ歯をそのまま放置することは好ましくありません。できるだけ早期に前歯の噛み合わせを改善し、下顎が成長できる格好にしたり、下顎の成長を促進したりする必要があるのです。
歯槽性の出っ歯
歯槽性の出っ歯とは、顎骨のサイズや、顎骨の位置異常がないタイプの出っ歯のことです。つまり、前歯の傾きや、前歯の並びに問題があって出っ歯の噛み合わせになっているケースです。
歯槽性の出っ歯は、比較的軽症の出っ歯ということができます。なぜなら、前に説明した骨格性の出っ歯と比べると、治療が比較的簡単だからです。
たとえば、「指しゃぶり」や「口唇噛み」の癖がある場合、歯槽性の出っ歯になりやすいことが分かっています。これらの癖があると、前歯は前方に強く傾斜してしまうからです。
ただし、指しゃぶりや口唇噛みの癖を取り除くだけで、出っ歯の問題が簡単に解決できることも少なくないのです。
歯槽性の出っ歯は、原因究明が大切
指しゃぶりや口唇噛みの癖を放置した場合、歯槽性の出っ歯もが骨格性の出っ歯に移行するケースがあります。
指しゃぶりや口唇噛みの癖があると、下顎を後方に下げようとするチカラが頻繁に作用することになるからです。そのため、下顎の成長を邪魔したり、成長に悪影響を及ぼす心配があるのです。
そのため、歯槽性の出っ歯の場合も、骨格性の出っ歯に移行しないよう注意することが重要です。そのためには、出っ歯を悪化する原因を取り除いたり、専門的なチェックを定期的に受けたりすることが大切になるのです。
お口ポカンにも、要注意!
口をポカンと開けた状態でいつもいることを、お口ポカンといいます。出っ歯の噛み合わせだと、口唇を楽に閉じることが難しくなるため、お口ポカンの格好になりやすいのです。
ただし、お口ポカンの状態でいると、歯槽性の出っ歯も骨格性の出っ歯になったり、骨格性の出っ歯がさらに重症化したりする心配があるので注意が必要です。
なぜなら、お口ポカンの状態では、口の周りの筋肉がほとんど働かないからです。そのため、顎骨を正しく成長するための刺激が、ほとんど働かなくなってしまうからです。
小児期に出っ歯治療を行うメリット
予防効果が高い
小児期に出っ歯の治療を行うことで、歯槽性の出っ歯が骨格性に移行したり、骨格的の出っ歯がさらに悪化することを予防することが可能です。
なぜなら、この時期の出っ歯は、深刻な状況になっていないことがほとんどだからです。そのため、早期に治療を開始することで、出っ歯を簡単に改善したり、出っ歯の悪化を効果的に予防したりすることができるのです。
成長を利用できる
小児期に治療を開始することで、顎骨の成長を利用したり、顎骨の成長を促進したりすることができます。小児期の顎骨は、まさに成長中だからです。
とくに、骨格性の出っ歯では、下顎のサイズを積極的に大きくしたり、下顎を前方に誘導したりすることで改善することが望まれます。そうすることで、永久歯になっておこなう本格的な矯正治療を容易にしたり、最終的な治療ゴールの位置を高く設定したりすることができるようになるからです。
このように、小児期に出っ歯の悪化を予防したり、積極的な治療で骨格性の問題を改善したりすることは非常に有効なのです。
まとめ
お子さんに出っ歯の噛み合わせがある場合、早期に専門家の診察を受けることが大切です。
なぜなら、出っ歯のお子さんの中には、予防処置や矯正治療が必要となるタイプのお子さんがいるからです。その中には、緊急に予防処置や矯正治療を開始する必要があるタイプのお子さんもいるので、注意が必要なのです。
よって、お子さんに出っ歯のかき合わせがある場合、一度、専門家の診断を受けることがオススメです。
そして、その際には、小児期の出っ歯治療において実績のある歯科医院を選択することが非常に重要です。そのような安心して診察を受けられる歯科医院を見つけたうえで、相談に行くようにしてください。
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