「私は、歯ぎしりしてない」という人も、必ず読んでください。なぜなら、歯ぎしりしないという人は、絶対にいないからです。
たしかに、毎日、一晩中、歯ぎしり(または、ブラキシズム)を行っていることはないかもしれません。しかし、間違いなく歯ぎしりをしています。
歯ぎしりは激しくなると、歯がスリ減ったり、自分の歯を破壊したり、歯並びが大きく崩れたりするなどデメリットの部分だけが注目されます。しかし、そんな歯ぎしりにも、実は、重要な役割があるのです。
ここでは、あなたも行っている歯ぎしりの大切な役割について説明します。
歯ぎしりの原因
歯ぎしり原因は、自律神経の不調和です。自律神経の不調和とは、いわゆる「ストレス」のことです。そのため、心配事があったり、友達とケンカしたり、テストが近づいたり、体調が悪かったりした時に、あなたも歯ぎしりをしたり、歯ぎしりが激しくなったりするのです。
進学や、就職など環境が大きく変化したことがきっかけで、歯ぎしりがひどくなる方もいらっしゃいます。
中には、歯列矯正の装置がついたことをストレスに感じて、極端な歯ぎしりが始まる患者さんもいるので注意して観察しておく必要があるのです。
歯ぎしりの役割
歯ぎしりは、キリキリという不快な音や、歯が削れたり、欠けたりする要因になることからデメリットの部分だけが注目されます。
そのため、歯ぎしりが単なる悪い癖、もしくは嫌な習慣と認識されていることが非常に多いです。たしかに、歯ぎしりがあることで、周囲の人の安眠を邪魔したり、歯並びを崩したりする原因になることがあります。
しかし、実は、歯ぎしりにも重要な役割があるのです。それは、「歯ぎしりすることで、その人のストレスが緩和することができる」ということです。
このことは、複数の研究結果から分かっています。その研究の中には、「歯ぎしりを毎日激しく行う人に、精神安定剤を服用させると、歯ぎしりがおさまる」ということを確認したものや、「歯ぎしりによって、ストレスが軽減した」ということを確認ものが多くあるのです。
このように、歯ぎしりをすることで、私たちの日頃のストレスを和らげているのです。言い換えると、歯ぎしり無しでは、ストレスに押しつぶされたり、健康を害したりする可能性があるということです。
歯ぎしりするということは、決して悪いことではありません。私たち人間にとって、歯ぎしりは非常に大切な役割を果たすものだったのです。
歯ぎしりが激しい場合の対処法
精神安定剤を服用すると、歯ぎしりを止めることができると解っています。しかし、歯ぎしりを止めるだけの目的で、精神安定剤を長期間服用することには反対です。
「歯ぎしりは、ストレスを緩和する役割を果たしている」という観点からも、クスリで抑制するよりも、健全に歯ぎしりをした方が良いと考えられるからです。
しかし、一方で、歯ぎしりによって、歯が大きく磨り減ったり、歯並びをくずしたりする原因にもなりえます。また、キシキシという不快な音は、周囲の人にとっても非常に迷惑です。
このような場合、就寝時に「ナイトガード」を用いることがオススメです。ナイトガードとは、マウスピース様の装置のことです。
ナイトガードを用いることで、歯がすり減ることを、積極的に予防することができます。そうすることで、歯が欠けたり、歯並びが悪化したりすることも防ぐことができるのです。
まとめ
実は、歯ぎしりにも、日中のストレスを緩和するという重要な役割があります。
しかし、歯ぎしりも極端になると、自分の歯を噛み割ったり、歯並びを悪くしたりします。そのため、場合によっては、早期に適切に対応することが必要になるのです。
よって、歯ぎしりがある人、もしくは歯並びが崩れてきた傾向がある方は、歯ぎしりの診断を適切に行うことができる歯科医院で診察を受けることがオススメです。
そして、そのような歯科医院を見つけたうえで、ナイトガードの使用について相談するようにしてください。