以前は考えられなかった乳歯の異常が、最近頻繁に見られるようになってきました。それだけ口の周りの筋肉が落ちてきたり、極端に顎の大きさが小さくなってきたりしているののです。このような乳歯の問題が認められる場合、そのお子さんには矯正治療が必要となる可能性が高いです。できれば、通常より深刻なケースが多いので、早めに矯正相談に行かれることがオススメです。
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ここでは、昔はありえなかった乳歯の「はならび異常」について説明します。
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乳歯の噛み合わせでは、切端咬合が正常とされてきました。最近では、切端咬合のお子さんは、ほとんど見かけません、永久歯の噛み合わせと同じように、前歯にある程度被さりがついた状態の噛み合わせです。中には、また乳歯の噛み合わせなのに、下の前歯が隠れてしまうほど噛み合わせが深いお子さんを見かけるようになりました。これは、徐々に下顎の大きさが、小さくなってきているということです。
乳歯の歯ならびでは、隙間のある状態が正常と言われていました。最近では、乳歯で隙間のあるお子さんを見かけることはほとんどありません。中には、乳歯の状態で、歯ならびにデコボコが認められるお子さんもでてきました。これは、徐々に顎の大きさが小さく、狭くなってきているということです。
歯ぐきが露出しやすいという症状は、永久歯の時にみられる問題でした。最近では、乳歯の状態で、歯ぐきが見えたり、露出が激しかったりするお子さんを多く認めます。これは、通常より上顎の骨が、下方に降りてきているを意味しています。上唇の動きが悪く、前方への成長できてないことが原因です。
乳歯の前歯が生え代わるときに、乳歯の犬歯が同時に抜け落ちてしまうケースが頻繁に見られるようになりました。永久歯が伸び出すときに、隣の犬歯の根っこをすでに壊してしまっている状態です。そのため、永久歯の犬歯が生えるためのスペースが全くないお子さんが、非常に多く見かけられるようになりました。これは、顎の前方部分の大きさがかなり小さくなっていることが原因と思われます。
6歳臼歯(第一大臼歯)が生える際にも、問題が発生するようになりました。6歳臼歯が、手前の乳歯の位置から生えてくるという変則的な状態です。6歳臼歯のトラブルなんて、以前はまったく考えられないものでしたが、このようなケースに遭遇するようになりました。顎が全体的に小さくなったこと、6歳臼歯の後ろにある12歳臼歯が早い時期に現れてくることが原因と思われます。
ここにあげた乳歯の「歯ならび異常」が当てはまるなら、お子さんの顎が極端に小さく、口の筋肉も充分に動いて心配があります。放置すると、ひどく重症化することが心配されます。仕上げ磨きのときに、このような症状が疑われるなら、早めに矯正相談を受けることが必要です。