小学校にあがる頃になると、前歯の乳歯がグラグラしてきます。いわゆる「乳歯の交換」、または「永久歯への交換」です。
この時期は、保護者の方がお子さんの口の様子に、自然に興味を示す時期です。それと同時に、お子さんの口の様子を、しっかり観察する必要がある時期でもあります。
お子さんの口の様子をしっかり観察するのは、親の大切な役目です。仕上げ磨きの時などには、乳歯が順調に生え代わっていること、永久歯がスムーズで交換していることを確認する必要があります。
ここでは、保護者が心配してしまいそうなことや、思わずビックリしてしまいそうな乳歯の生え代わりについて説明します。
乳歯の交換
永久歯への交換がはじまる際、乳歯がグラグラになるは、乳歯の歯根が短くなるからです。なぜなら、永久歯が伸び出す際、永久歯の上にある乳歯の歯根を徐々に壊してしまうからです。
この現象を、「乳歯の歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」といいます。
最近のお子さんの中には、この乳歯の歯根吸収が正常に行われないといったケースが、多く見られるようになってきました。
なぜなら、お子さんのアゴ骨が全体的に小さくなったからです。そのため、永久歯がまだアゴ骨の中にある時点で、すでに永久歯の位置異常が発生してしまっているのです。
乳歯交換時のトラブル
乳歯の変色
乳歯交換の際、保護者の方が最も驚くこととして挙げられるのが「乳歯の変色」です。お子さんの乳歯が、突然、濃い赤色や青紫色になってビックリすることがあるのです。
乳歯のグラグラは、永久歯が伸び出す際、乳歯の歯根を徐々に壊すことによって発生します。乳歯が青紫色に変色する現象は、この乳歯を壊す現象が乳歯の根にとどまらず、乳歯の頭の部分にまで及んだために発生します。
そのため、乳歯が内側から薄くなり、中の歯ぐきが透けて見えるようになってしまったのです。しかし、乳歯がこのように変色しても、歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼす心配はありません。そのため、そのまま放置することが一般的です。
ただし、中には乳歯が薄くなったことが原因で、途中、歯を噛み割ったり、歯を噛みくだいたりすることがあります。そのような状態になっても、大きな痛みが発生したり、大きなトラブルに発展したりする心配ありません。
そのため、赤色に変色した乳歯を発見しても、その変色した乳歯を噛み割ったとしても、そのまま放置することが一般的です。
永久歯の位置異常
乳歯交換の際、保護者の方が驚くこととして次に挙げられるのが「乳歯の脱落異常」や「永久歯の位置異常」です。
これは、乳歯の歯根吸収が正常に行われないことが原因で発生します。たとえば、永久歯が乳歯の真下に位置していないケースです。この場合、乳歯の歯根吸収が正常に行われない場合があります。
そのため、乳歯がいつまでもしっかりしている状態だったり、大きく揺れているにもかかわらず、いつまでも脱落しない状態が続いたりすることがあるのです。
このように、乳歯が脱落しない状態を放置すると、永久歯の歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。たとえば、永久歯が大きく外れた場所に生えてきたり、二重に重なった状態で生えてきたりする状態です。
そのため、乳歯の歯根吸収がスムーズではないケース、および、その影響で永久歯の位置異常が発生する恐れがあるケースでは、乳歯を積極的に抜歯することが必要になるのです。
乳歯の沈下
乳歯交換の際、保護者の方が驚くこととして最後に挙げられるのが「乳歯の沈下(ちんか)」についてです。
乳歯の沈下は、乳歯の歯根がアゴ骨と癒着したことによって発生します。乳歯が癒着したことによって、その部分のアゴ骨が発育不全を起こしてしまうからです。
このように、乳歯の癒着や、乳歯の沈下が発生している場合には注意が必要です。なぜなら、癒着を発生した乳歯については、正常な乳歯交換が行われることがないからです。
癒着した乳歯の歯根は、永久歯が伸びだそうとしても、歯根が短くなることはありません。そのため、この状態のまま放置すると、永久歯がアゴ骨の埋もれたままになったり、永久歯の位置異常や方向異常を起こしたりするのです。
そのため、乳歯の癒着や、乳歯の沈下が発生している場合には、その乳歯を積極的に抜歯する必要があります。早期に抜歯することで、癒着による悪影響を効果的に予防することができるのです。
まとめ
最近のお子さんは、アゴ骨の形態が小さくなっていることもあり、乳歯が交換する際にも、さまざまなトラブルが起こりやすくなっています。
中には、緊急性のあるものや、歯科医院でのチェックが必要なものがあります。そのため、仕上げ磨きの際には、お子さんの歯の交換の様子についてよく注意して見てあげるようにしてください。