矯正治療において、第二次性徴(だいにじせいちょう)がはじまる時期を正確に把握することは非常に大切です。
なぜなら、第二次性徴がおこる時期は、下アゴが大きく成長する時期でもあるからです。また、この時期に、下アゴが大きく伸びるという特徴を考慮して、治療計画をたてる必要があるからです。
ただし、第二次性徴がはじまる時期には個人差があります。そのため、実際の年齢は、第二次成長を判断する材料としては、当てにならないのです。
よって、ここでは、第二次性徴がはじまる時期、およびはじまったことがわかるサインについて説明します。
第二次性徴と矯正治療
矯正治療を行ううえで、第二次性徴の時期を正確に把握することは非常に重要です。
たとえば、出っ歯(または、上顎前突症)の矯正治療です。下アゴが小さいことが原因で出っ歯になっているケースでは、当然、下アゴを大きくすることで出っ歯を改善することが望まれます。
そのため、第二次性徴期がはじまる直前に、矯正治療を開始することで、下アゴを効果的に大きくすることができるのです。なぜなら、第二次性徴期は、下アゴが最も成長する時期でもあるからです。
一方、受け口(または、下顎前突症)の治療では、第二次性徴期が終了したことを確認してから、矯正治療を開始する必要があります。
なぜなら、受け口タイプの患者さんでは、第二次性徴の時期に、下アゴが極端に伸びる危険性があるからです。そのため、第二次性徴の最中に矯正治療をはじめると、途中で治療計画の変更が必要になったり、整えた噛み合わせが大きく崩れたりする心配があるのです。
このように、矯正治療を行ううえで、第二次性徴の時期を正確に把握することは非常に重要なのです。
第二次性徴のサイン
12歳臼歯の出現
第二次性徴のサインと、最初に挙げられるのが「口の中の変化」です。
第二次性徴の時期については、個人差が非常に大きいため、実際の年齢を判断基準と用いるのは不適切です。そのかわり、「歯の生えかわり」と強く相関関係があることが分かっています。
具体的には、すべての乳歯が抜けた後、下の第二大臼歯(または、12歳臼歯)が生え始める時期から、第二次性徴ははじまるのです。
初潮の開始
下の第二大臼歯が生え始めると、女の子では、「初潮」が始まります。
そのため、女の子では、第二次性徴の様子を初潮の有無で把握することができるのです。初潮がはじまると、その後1年くらいの間、身長の成長が続きます。それと同時に、下アゴも大きく成長するのです。
そのため、出っ歯の治療では、この初潮後1年の間に、積極的な下アゴの成長促進を目的とする治療を行いたいものです。
一方、受け口の治療では、初潮がはじまって1年間は、本格的な矯正治療を開始することはできないと判断することができるのです。
変声の開始
女の子の初潮ほど明確ではありませんが、男の子でも二次成長のはじまりを、「変声(へんせい)」または「声変わり」で確認することができます。
変声が始まった頃から、身長も大きく伸びたり、下アゴが大きく成長したりするのです。
ただし、男の子の場合、女の子と比較して二次成長の期間が長いことが特徴です。そのため、出っ歯の治療を行う際、二次性徴を利用して下アゴの成長促進を行うことができる期間が長いということができるでしょう。
しかし、受け口の治療では、なかなか本格的な矯正治療を開始することはできません。なぜなら、男の子の場合、二次性徴が終了する時期が、変声がはじまって2~3年後になるからです。その間、歯牙顎が大きく伸びる心配があるため、矯正治療を開始することは望ましくないのです。
まとめ
第二次性徴期を正確に把握することで、矯正治療を行うのに適切なタイミングを判断したり、矯正治療を効率的に行ったりすることができます。
よって、矯正治療を考えている方は、第二次性徴による影響を考慮して治療を行うことができる歯科医院を見つけることが大切です。
そして、そのような安心して治療を受けることができる歯科院を選択したうえで、矯正相談に行くようにしてください。