あなたの口の中は、乾燥してしませんか? もしかして、口内炎やむし歯が発生しやすいタイプではありませんか?
それらは、唾液(だえき)の分泌が極端に少ないことが原因なのかもしれません。
このように唾液の分泌が少なくなるという現象が、若い10代や20代の方にも見られるようになっています。
そして、この唾液の分泌減少が影響して、矯正治療中にむし歯が多発したり、口内炎が頻発して悩まされたりしているケースが少なくないのです。
ここでは、唾液の分泌減少の原因と、矯正治療における悪影響について説明します。
唾液が減少する原因
唾液の分泌が少ない状態を、「ドライマウス」、または「口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)」といいます。
最近では、若い人にも見かける疾患として問題となっているため、テレビや雑誌で見かけた方も多いのではないでしょうか?
このようにドライマウスが若い方にも起こるようになった原因として挙げられるのが、「アレルギー」と「ストレス」です。
たとえば、花粉症やアレルギー性鼻炎の薬を服用すると、唾液の分泌が減少し、たちまち口の中が乾燥した状態になることを御存知でしょうか?
また、緊張した状況で口の中がカラカラになることからも分かるように、ストレスがあると唾液の量が減少しドライマウスになりやすいのです。
このように、ドライマウスは私達にとって決して無関係ではありません。
場合によっては、矯正治療を行っている途中で、ドライマウスの問題が発生するケースがあるため注意が必要なのです。
矯正治療で心配されるトラブル
むし歯
ドライマウスの方の矯正治療で、まず心配されるのが、「むし歯の発生」です。
唾液が少ないと、「歯の再石灰化機能(さいせっかいかきのう)」が十分に行われなかったり、細菌が作り出した酸を十分に中和できなかったりするからです。
また、ドライマウスだと、歯磨き剤(または、歯磨剤)を使用することができません。
なぜなら、歯ぐきや粘膜が乾燥した状態で使用すると、歯磨き剤の刺激により、強い痛みを感じてしまうからです。
さらに悪いことには、矯正治療でブラケットやワイヤーが歯につくと、むし歯の発生リスクは、さらに悪化します。
なぜなら、ブラケットやワイヤーに、細菌や食べ物がまつわりつくようになるだけでなく、歯磨きも行いにくい状態になるからです。
このように、ドライマウスの状態で矯正装置をはめると、むし歯の管理が非常に難しくなってしまうのです。
口内炎
ドライマウスの方の矯正治療で、次に問題になるのが、「口内炎(こうないえん)の発生」です。
ドライマウスの状態では、唾液量が不足し、口の中は常に乾燥した状態になっているからです。そして、頬や口唇などの粘膜が、非常に傷つきやすい状態になっているからです。
そのため、ドライマウスの患者さんは、大きな口内炎ができやすかったり、できた口内炎が治りにくかったりするのです。
このように口内炎が発生しやすい状態で、ブラケットやワイヤーをつけると、口内炎が絶えず非常に大変です。
そのため、ドライマウスの症状が強い患者さんは、矯正治療を受けることが非常に難しかったといえるでしょう。
ドライマウスの方の矯正治療
現在、わたしのクリニックでは、ドライマウスの方に対して、「インビザライン®」を用いた矯正治療をオススメしています。
インビザラインとは、歯の表面にブラケットやワイヤーなどの矯正装置を用いず、透明なマウスピースを取り外しするだけで矯正治療を行うシステムのことです。
わたしが、ドライマウスの方にインビザラインをオススメするのは、使用するマウスピースが非常に薄く、突起物がないからです。
そして、歯ぐきや粘膜がデリケートな状態であっても、口の粘膜を刺激したり、口内炎が多発したりする心配がないからです。
また、虫歯予防の観点からも、インビザラインは非常に安全です。なぜなら、マウスピースを一旦外した状態で歯磨きすることができるからです。
場合によっては、マウスピースの中に、フッ素化合物や虫歯予防薬を入れた状態で使用することも可能です。
このように、以前は難しかったドライマウスの方の矯正治療も、インビザラインを用いることで、安心して治療が受けられるようになっています。
まとめ
これまで、唾液量が少ない患者さんにとって、矯正治療は非常につらいものでした。
特に、シェーグレン症候群など唾液量が極端に少ない疾患がある場合では、矯正治療が受けられないことすらありました。
しかし、近年では、ブラケットもワイヤーも使用しない矯正治療が可能です。それにより、ドライマウスの患者さんでも、快適に治療を受けることができるのです。
よって、ドライマウスを心配している方は、インビザライン矯正の実績がある歯科医院を、まずは選択することが大切です。
そして、そのような歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにしてください。