お子さんは、普段、鼻で息をしていますか? それとも、口で呼吸することが多いですか?
もし、口で息をしていることが多い、もしく鼻で呼吸することが困難であるなら、注意が必要です。
なせなら、鼻で息をすることは、お子さんの健康や成長にとって、非常に大きく関わっているからです。普段、口で息をしている状態だと、健康や成長に悪影響が及ぶ心配があるからです。
ここでは、口呼吸でいることが、お子さんにとって悪影響になっているという事実について説明します。
口呼吸のリスク
むし歯・歯周病のリスク
口呼吸のリスクとして、最初に挙げられるのが、「口の乾燥」です。
口呼吸していると、むし歯や歯周病の危険性が非常に高くなります。
なぜなら、口の中が乾燥していると、唾液(だえき)の再石灰化(さいせっかいか)機能が十分に発揮できなかったり、細菌が異常に繁殖したりしやすいからです。
たとえば、「ドライマウス」をもつ人の、口の中をみると明らかです。
ドライマウスは、口呼吸ではなく、アレルギーの薬を服用していたり、唾液が減少する疾患にかかっていたり、ストレスを抱えていたりすることなどが原因で発生するトラブルです。
口の中が常に乾燥しているため、むし歯や、歯周病が多く発生したり、重症化したりして困っているのです。
このように、口の中が乾燥した状態だと、むし歯や歯周病が発生したり、悪化したりする環境であるということができます。
お子さんの前歯の歯ぐきが腫れている、もしくは歯磨きの際に痛がるなどの症状がある場合、口呼吸による乾燥の影響がでているのかもしれません。
成長へのリスク
次に挙げられるのが、「血中の酸素濃度」の問題です。
口で呼吸している人と、鼻で呼吸している人の血液を調べると、含まれる酸素の量がまったく異なるのです。
これは、口呼吸している人の肺には、炎症がおきているからということができます。口呼吸だと、乾燥した空気が肺に直接入ってくるので、乾燥しすぎた肺が炎症を起こし、本来の機能が果たせなくなってしまうのです。
実際に血液中の酸素濃度を調べた実験では、「口呼吸だと、血中の酸素濃度が10パーセントほど少ない」ことがわかっています。
血液の酸素濃度が、10パーセントも低い状態だと、子どもの成長にも悪影響があるはずです。
「朝、目覚めが悪い」「スッキリしない」「疲れがとれない」「無気力」「昼間、ボーっとしている」というのは、いまや大人だけの問題ではありません。口呼吸のお子さんにも、当てはまる症状なのです。
感染症のリスク
最後に紹介するのが、「感染予防」についてです。
鼻呼吸の役割として、「フィルター効果」と「加湿効果」の2つが挙げられます。
これらが、感染予防において非常に大切なことは、インフルエンザの予防を思い出すことで容易に理解できます。
インフルエンザ予防では、うがいや手洗いをする以外にも、マスクをつけたり(「フィルター効果」)、部屋を加湿したり(「加湿効果」)が非常に重要です。
同じように、鼻で呼吸をすることで、肺に侵入する細菌やウィルスを減少したり、空気を加湿することができるのです。
一方、口呼吸の状態だと、多くの細菌やウィルスが、感染力が強いまま肺の中に侵入することになるのです。
そのため、口呼吸のお子さんは、感染症にかかりやすいということができるでしょう。
まとめ
幼少期に、鼻呼吸の習慣を獲得することは非常に重要です。なぜなら、鼻呼吸することは、お子さんの健康や成長にとって、非常に大切だからです。
よって、お子さんに口呼吸の傾向がある場合、口や鼻の機能について診断や指導ができる歯科医院を、見つけることが大切です。
そして、そのような専門性のある歯科医院を見つけたうえで、相談に行くようにしてください。