矯正治療中、もしくは治療後に、親知らずの抜歯をオススメしています。
なぜなら、状態の悪い親知らずを放置すると、歯並びや噛み合わせが崩れる危険性があるだけではないからです。突然、親知らずに大きな痛みが起こったり、手前の歯を巻き込んで悪くしたりすることがあるからです。
とくに、あなたが女性なら、親知らずは必ず抜いておくとこをオススメします。なぜなら、男性に比べて女性のほうが、親知らずによる悪影響を受けやすいからです。
ここでは、女性における親知らずの悪影響と、親知らずを若いうちに抜いたほうが良い理由について説明しています。
親知らずのトラブル
親知らずが痛むのは、体調を少し崩したときです。
たとえば、夏の暑い時期や、風邪などで体調を崩したときが挙げられます。なぜなら、体力が落ちて免疫力が低下するからです。
また、親知らずのトラブルは、いつもタイミング悪く起きます。
たとえば、仕事が立て込んでいるときや、進学や就職などで大きく環境が変わるときです。なぜなら、忙しく疲れていると、体調を崩したときと同じように、免疫力が低下するからです。
実は、妊娠中や出産の際にも、タイミング悪く親知らずがトラブルを起こすことが少なくありません。なぜなら、妊娠中には、身体のホルモンバランスが大きく変化するからです。
たとえば、「エストロゲン」、「プロゲステロン」などの女性ホルモンです。妊娠中は、これらの女性ホルモンの分泌が、通常の7倍分泌されることが分かっています。
そして、女性ホルモンのバランスが大きく変化すると同時に、免疫力も大きく低下してしまい、親知らずのトラブルが発生しやすくなるのです。
さらに悪いことには、エストロゲン、プロゲステロンなどの女性ホルモンが多く分泌されると、歯ぐきが炎症を起こしやすくなったり、歯周病菌が増殖したりすることが分っています。
このように、歯周病菌が極端に増えたり、炎症を起こしたりしやすい体質になるため、親擦らずのトラブルが発生する危険が非常に高いのです。
親知らずの抜歯
妊娠中でも、安全に親知らずの抜歯を行うことができます。また、その時、服用する抗生物質や痛み止めの薬も、安全性が確認されているものを処方します。
そのため、妊娠中に親知らずのトラブルが起こった場合には、実際に抗生物質や痛み止めを服用したり、親知らずの抜歯を行ったりします。
しかし、それが「お腹のお子さんに、悪影響はほとんどない」と分かっていても、あまり良い気分はしないはずです。授乳中なら、母乳を一旦中止することで、お子さんへの影響をゼロにすることができます。しかし、妊娠中では部分麻酔や、服用薬による影響をゼロにすることはできないのです。
そのため、わたしのクリニックでは、女子中学生や高校生であっても、積極的に親知らずの抜歯の話をするようにしています。そして、「できるだけ高校生や大学生のうちに、親知らずを抜歯する」ことをオススメしています。
なぜなら、親知らずの抜歯を行うと、顔が数日の間腫れることが予想されるからです。そのため、社会人になると、ますます親知らずを抜歯するタイミングがなくなってしまうからです。
まとめ
妊娠中や出産の時期には、女性ホルモンの影響により、親知らずがトラブルを起こす危険性が非常に高くなります。妊娠中や出産がせまった時期に、親知らずが痛み出して心配するケースが少なくないのです。
そのため、女性の場合、歯列矯正を行った経験の有無にかかわらず、積極的に親知らずの抜歯を考えることがオススメです。
早めに親知らずを抜歯しておくことで、将来、安心して妊娠や出産に臨めるだけでなく、矯正治療で整えた歯並びや噛み合わせも、良い状態で維持できるようになるのです。