矯正治療終了後からは、「リテーナー(または、保定装置)」を使っての保定期間が始まります。
この保定装置を使った保定期間は、矯正治療でキレイに整えた歯並びと噛み合わせが、崩れないようにするうえで非常に重要です。
ただし、このリテーナーは取り外し式であるのため、うっかり紛失したり、壊したりするトラブルがどうしても発生しやすいようです。
ここでは、保定期間中に起こしやすい、うっかりミスによるリテーナーのトラブルについてご紹介します。
リテーナーのトラブル
食事の際に紛失
食事する前のリテーナーの保管には、十分に注意が必要です。
なぜなら、保管方法が間違っていたり、保管場所が悪かったりすることで、リテーナーを紛失するトラブルが非常に多いからです。
頻繁にあるのが、外食の際のトラブルです。食事前に外したリテーナーを、ペーパータオルにくるんで、テーブルの上に置いているからです。そして、食べ終わった皿と一緒に、ペーパータオルごと給仕の人が片付けてしまうケースが少なくないのです。
そのため、リテーナーを外した際は、保管ケースにしまうようにする、もしくは、テーブルの上ではなく、カバンの中に保管するなどの配慮が必要になります。
旅行先で紛失
旅行先でのリテーナーの紛失にも、十分に注意が必要です。
なぜなら、旅行先でリテーナーを紛失するというトラブルが、非常に多いからです。旅行先では、保管場所がいつもと違うため、リテーナーを紛失したり、置き忘れたりするトラブルを起こしやすいのです。
そのため、わたしのクリニックでは、旅先では、洗面所や机の上に置いたりせず、すぐに自分のカバンに入れるようにアドバイスしています。数日の旅行なら、リテーナーを旅先に持っていかないように指導するケースもあります。
それほど、リテーナーの紛失については神経質になっているのです。旅行に行く際は、リテーナーを置き忘れたりしないように注意してください。
ペットによる破損
家の中でペットを飼っている方は、特に注意が必要です。
なぜなら、ペットは、飼い主のニオイが大好きだからです。そのため、低い場所にリテーナーが置いてあると、ペットがリテーナーをズタズタになるまで噛み壊してしまうのです。
ペットが噛んで遊んだリテーナーは、もはや使用できる状態ではありません。そのため、リテーナーの保管場所には、十分注意する必要があるのです。
また、リテーナーは、保管ケースに入れるだけでは不十分です。保管ケースは簡単に開けてしまうことがあるからです。そのため、必ずペットの届かないような高い場所に、保管することが大切なのです。
清掃の際の損傷
リテーナーをキレイにする際にも、注意が必要です。
リテーナーの清掃方法が誤っていて、装置をダメにしてしまっているケースが少なくないからです。
たとえば、お湯による洗浄です。リテーナーの多くは、合成樹脂でできています。そのため、ぬるま湯であっても、徐々に変形することがあるのです。そのため、リテーナーを洗浄する際は、必ず水道水を常温のまままま使用することが大切なのです。
また、歯磨き剤を使って磨いたり、入れ歯洗浄剤で洗浄したりするのもトラブルのもとです。研磨剤入りの歯磨き剤だと、リテーナーに細かな傷が入り、それが細菌が繁殖する場所になってしまうからです。
そして、金属ワイヤーが使用されているタイプのリテーナーでは、入れ歯洗浄剤の影響により、鑞着部分が劣化してしまうからです。
このように、リテーナーを清掃する際にも、十分に注意が必要になるのです。
まとめ
保定期間は、一般的に2年以上と、リテーナーを使用する期間は非常に長いです。その間、リテーナーをうっかりミスで破損したり、紛失したりしないよう十分注意が必要です。
なぜなら、リテーナーがしっかり使用できないと、矯正治療で整えた歯並びや噛み合わせを良好な状態で維持することができないからです。
そのため、もしリテーナーを紛失したり、破損したりした場合には、そのまま放置せず、主治医に連絡し指示を仰ぐようにしてください。
放置すれば、せっかく整えた歯並びや噛み合わせが崩れて、再治療が必要になる心配があるからです。