高校進学や大学進学など、中学生や高校生にとって重大なイベントであるだけでなく、生活環境が大きく変化する時期です。
同時に、この時期は、多くの中学生や高校性が、本格的な矯正治療を開始するときでもあります。そのため、矯正治療を開始する際には、今後の進路予定について主治医に伝えておくことが大切なのです。
なぜなら、高校進学もしくは大学進学のために、県外に離れることがあるからです。矯正治療を完了するためには、一般的に2年以上の治療期間が必要です。
そのため、これから矯正治療を考えている中学生および高校性は、進路について十分考慮し、矯正治療を開始する時期や、矯正治療の方法について決定する必要があるのです。
進学による影響
大学へ進学する際、県外の大学にすすむという方は非常に多いです。最近では、高校進学の際にも、県外の高校にすすむという方もめずらしくありません。
このように県外に進学することが決まったとき、矯正治療が完了していない状態だと、少し困ったことが起きてしまうのです。たとえば、福岡の高校から、東京の大学に進学するケースです。
このとき、矯正治療が完了していな状態であれば、進学したあとも東京から福岡の歯科医院まで、月に1回の割合で通院する必要があります。
県外であっても遠くない、もしくは、あと数回の通院で治療が完了する状態なのであれば、進学先から通院することも可能かもしれません。しかし、極端に遠方であったり、まだ多くの回数が必要な状態だったりすると、通院を継続することは困難になるのです。
場合によっては、進学先で転院する歯科医院をさがす必要があります。ただし、転院するという方法も、できるだけ避けたいものです。
なぜなら、矯正治療の治療費が新たに発生するからです。そのため、転院することを選択した場合、治療費の総額が、大きく跳ね上がってしまうのです。とくに、地方から都市部に進学する際には、注意が必要です。なぜなら、都市部の方が、地方に比べて矯正治療の治療費が高額だからです。
転院をできるだけ避けたい理由として、次に挙げられ「転院先では、以前の治療方針を継続しにくい」ということです。それは、矯正治療には複数の方法があり、同じ治療法、同じ治療計画で治療する歯科医院を見つけることが難しいからです。
さらに考慮すべきは、使用している矯正器具、中でも「ブラケット」についてです。ブラケットとは、ワイヤーを用いる本格的な矯正治療を行う際、歯に貼りつける矯正器具のことです。このブラケットにも、さまざまなタイプがあり、同じブラケットを用いている歯科医院、もしくは使用するブラケットを熟知する歯科医院を見つけることが困難だからです。
進学を控える方へのアドバイス
矯正治療の開始時期について
県外に進学することを考えている場合、進学の時期から逆算して、少なくとも2年前には矯正治療を開始することがオススメです。なぜなら、本格的な矯正治療の治療期間が、通常2年から2年半ほどだからです。
そのため、県外への進学を考えている中学生、もしくは高校生は、「1年生のうちに矯正治療を開始すること」「遅くとも2年生の1学期までには、矯正治療を開始しておくこと」がオススメなのです。
2年生の後半、もしくは3年生になって矯正治療を開始する場合、注意が必要です。なぜなら、進学する時点で、矯正治療が完了していない可能性が高いからです。そのため、県外から通院したり、進学先の歯科医院へ転院したりする必要があるからです。
そのため、わたしのクリニックでは、矯正相談を訪れた中学生および高校生には、現在の学年と、進学の予定を確認するようにしています。そして、進学するまでの期間が残されていないケースでは、矯正治療を開始せず、進学先が決定してから開始するようにアドバイスしています。
このように、中学生および高校生の矯正治療では、進学について十分考慮することが非常に大切です。そして、矯正治療を開始する時期が非常に重要になってくるのです。
新たな治療方法
しかし、最近では、患者さんとそのご家族と相談のうえ、県外への進学の予定があったとしても、矯正開始するケースがあります。なぜなら、インビザライン®に代表されるマウスピース矯正を用いることができるようになったからです。
マウスピース矯正で治療を行う際、月に1回の割合で通院する必要はありません。3ヶ月に1回程度の通院でも、矯正治療が可能だからです。
3ヶ月に1回の間隔であれば、夏休みや冬休み、それに春休みやゴールデンウィークの帰省を利用して、治療を行うことができるのです。
また、転院が必要になった際にも、マウスピース矯正は非常に都合がいいのです。治療費が新たにかかるというデメリットはあるものの、これまで行った治療方針をそのまま継続することができるからです。
このように、マウスピース矯正では、治療方法が異なる、もしくは用いる矯正器具が異なるといった心配をする必要がありません。そのため、進学の時期が近くなっているケースでも、最近ではマウスピース矯正を開始するケースがあります。
まとめ
県外への進学を考えている方は、矯正治療を開始する時期について十分考慮する必要があります。
なぜなら、矯正治療は、通常2年から2年半ほどの治療期間が必要だからです。そのため、進学が近くなって矯正治療を開始しても、治療が完了しない可能性が高いからです。
そのため、これから矯正治療を考えている方は、早めに矯正相談に行くことが大切です。そして、県外への進学の希望がある場合は、その事を主治医に伝えたうえで、矯正治療の開始もしくは治療方法について相談するようにしてください。