お子さんに受け口(または、下顎前突症)の噛み合わせを見つけた場合、直ちに専門家の診察を受けることをオススメします。そして、適切な治療開始のタイミングまで、定期的なチェックを受けることをオススメします。
なぜなら、子どもの受け口を放置すると、問題が深刻化する心配があるからです。
実際に、口の機能が十分に行えなかったり、不自然な顔立ちになったりする心配があるのです。そのため、受け口を放置したことを、後悔する結果になってしまった人が少なくないのです。
「このまま放置しても大丈夫だろう」「中学生、高校生になって治療を考えても、困ることはないだろう」という考えは、非常に危険なのです。
ここでは、受け口の噛み合わせを小児期に治療しておくべき理由について説明します。これを読むことによって、受け口治療を先延ばししたり、中学生・高校生になって後悔したりしないようになるはずです。
受け口を放置するとどうなるの?
うまく聞き取れない発音
受け口の噛み合わせを放置すると、舌足らずな発音しかできなくなります。とくに、「サ行」「タ行」の発音については、非常に不明瞭になることが多いです。
なぜなら、「サ行」「タ行」の発音のとき、上あごの前歯のうしろまで、舌を持ち上がる必要があるからです。
しかし、受け口の子どもは、舌のチカラが非常に弱いのが特徴です。そのため、舌をしっかり持ち上げて発音することができないのです。
食事を楽しめない原因
受け口を放置すると、しっかり噛んで食べるということが難しくなります。
たとえば、受け口の噛み合わせだと、前歯で噛み切るということが苦手です。なぜなら、前歯で噛み切ろうとする場合、下あごを引っ込めた格好で噛む必要があるからです。
また、受け口の噛み合わせだと、奥歯で噛み砕くということも苦手です。なぜなら、前歯の噛み合わせが邪魔して、下あごを横方向に動かすことが難しいからです。
このように、受け口の噛み合わせを放置すると、噛むという行為もしくは食事自体が苦手になってしまう心配があるのです。
人を遠ざける原因に
受け口の状態を放置すると、コミュニケーションが苦手に育つ心配があります。なぜなら、受け口がひどくなると、いつも不機嫌な表情に見えてしまうからです。
たとえば、前歯の露出です。受け口の噛み合わせだと、会話中もしくは笑顔の際にも、上あごの前歯の露出が非常に少ないです。そのため、周囲の人には、不機嫌な様子、怒っている様子にみえてしまうのです。
また、受け口の噛み合わせだと、口唇が薄くなりがちです。このことも、周囲の人には、不機嫌な様子、怒っている様子にみえてしまいまます。そのため、「あまり面白くないのかなあ」「不機嫌そうだなあ」と、勘違いしてしまうのです。
受け口を放置すると、骨格に影響する場合も・・・
上あごへの悪影響
受け口を放置するデメリットとして、最初に挙げられるのが「上アゴへの影響」です。
受け口の噛み合わせをそのままにしておくと、上アゴの成長を妨害する恐れがあります。なぜなら、受け口の噛み合わせでは、下アゴが上アゴを押さえ込む格好になるからです。
そして、この格好は、上アゴの成長を阻止するような装置を、24時間装着しているのと同じと言い換えることができます。そのため、受け口の噛み合わせでは、上アゴはうまく成長することができなくなってしまうのです。
とくに、お子さんが重度の受け口であるデースでは、上アゴが極端に小さいことが少なくありません。
そのため、できるだけ早い段階で、「上アゴの形態を大きくすること」と、「上の前歯が、下の前歯を越えること」が非常に重要になるのです。
そのようにすることで、前歯の噛み合わせが、上アゴの成長を妨害するという悪影響を取り除くことができるのです。
下あごへの悪影響
受け口の噛み合わせを放置するデメリットとして、次に挙げられるのが「下アゴへの影響」です。
とくに、お子さんが重度の受け口のケースでは、下アゴが通常よりかなり大きい状態であることが少なくありません。受け口の噛み合わせをそのままにすると、下アゴをさらに大きくしてしまう恐れがあるのです。
なぜなら、受け口の噛み合わせでは、前歯の噛み合わせによって、下アゴを前方に誘導する格好になってしまうからです。これは、下アゴを前方に拡大する装置、24時間装着しているのと全く同じことなのです。
そして、さらに注意が必要なのは、第二次性徴の時期におこるアゴの成長についてです。なぜなら、第二次性徴期における成長では、上アゴはほとんど成長しないのに対して、下アゴはこの時期に最大の成長を示すからです。
そして、この第二次性徴がおこる時期に、下アゴの成長を促すような装置を24時間装着した状態だと、受け口の問題を深刻化してしまう心配が高いのです。
そのため、第二次性徴期のアゴの成長が始まる前に、前歯の噛み合わせを正常な前後関係にしておく必要があるのです。そうすることで、下アゴが極端に大きくなるリスクを減らすことができるのです。
顔貌への悪影響
受け口を放置するデメリットとして、最後に挙げられるのが「顔貌(がんぼう)への影響」です。
受け口の状態が悪化すると、いわゆる受け口特有の顔つきになってしまいます。つまり、鼻下の人中部部分が大きく落ち込み、下アゴが極端に突き出ることで、顔が全体的に反り返った状態です。
このような顔つきのことを、「三日月様顔貌(みかづきようがんぼう)」、もしくは「しゃくれ顔」といいます。
受け口の状態が悪化し、顔貌への影響が強く目立ってくると、もはや矯正治療だけで噛み合わせを整えたり、顔貌を改善したりすることは困難です。矯正治療だけでなく、全身麻酔による外科手術も同時に行う必要がでてきます。
このように、受け口の状態が深刻化し、顔貌に影響がでる前に、できるだけ早期に上アゴの形態を大きくしたり、前歯の噛み合わせを正常な状態に改善したりする必要があるのです。そうすることによって、受け口の状態が大きく悪化することを防ぐことができるのです。
まとめ
受け口(または、下顎前突症)のお子さんでは、早期に前歯を正常な噛み合わせにしてあげることが望まれます。なぜなら、受け口の噛み合わせのままだと、お子さんの受け口がさらに悪化する危険性が非常に高いからです。
よって、お子さんに受け口の噛み合わせがある場合、まず、受け口治療において実績のある歯科医院を見つけることが大切です。
そして、そのような安心して治療を受けることができる歯科医院を選択したうえで、矯正相談に行くようにしてください。