「永久歯の前歯は、キレイに並ぶことができそうか」「ガタガタ前歯になったりしないか」、お子さんの前歯が永久歯に交換しはじめると、親なら誰しも心配になるはずです。
お子さんの口の中を確認してみると、前歯がすでにデコボコ歯並びであったり、これから生えてくる歯のスペースが不足していたりしている状態かもしれません。
しかし、このように永久歯のスペースが不足している場合でも、早期治療を行うことによって、ガタガタ歯並びを予防したり、前歯のデコボコを改善したりすることができます。つまり、子供のあご骨を拡大して、永久歯を並べるためのスペースをつくることができるのです。
ただし、子供のあご骨を拡げることができる期間には、タイムリミットが存在します。何歳になっても、あご骨を拡大できるというわけではないのです。そのため、ここでは、お子さんのあご骨を拡大することができる期限について説明していきます。
これを読むことによって、早期治療を行う時期について、正しく理解できるようになるはずです。
あご骨を広げる期間が限定される理由
あご骨の成長が残っている
あご骨を広げることができる時期には、タイムリミットがあります。なぜなら、あご骨を広げることができる時期は、成長細胞があご骨に十分に残っている期間に限られているからです。
そのため、成長が完了した後にあご骨を広げようとしても、ほとんど拡大することはできないのです。
乳歯がしっかりと残っている
あご骨を広げることができる際は、しっかりした乳歯が残っていることが大切です。早期治療においては、あご骨を広げるためのチカラは乳歯に加えるからです。
永久歯にチカラを加えて、あご骨を広げることは基本的には行いません。なぜなら、永久歯には大きなチカラを加えることができないからです。
永久歯の歯根の成長を邪魔したり、歯根にダメージを与えたりする心配があるからです。
治療期間が必要になる
ガタガタ歯並びにおいては、治療をおこなう時期だけでなく、治療に必要な期間についても考慮する必要があります。なぜなら、あご骨を十分に大きくするためは、ある程度の期間が必要になるからです。
たとえば、シュワルツ型拡大装置を用いて行うあご骨拡大のペースは、1ヶ月におよそ1mmです。そのため、たとえ順調に治療できたとしても、半年以上の治療期間が必要になります。
当然、あご骨の拡大を行っている期間は、乳歯がしっかりとしている必要があります。そのため、あご骨拡大に必要な治療期間を考慮したうえで、早期治療を余裕をもって開始する必要があるのです。
ガタガタ歯並びを改善する装置
子供のあご骨を大きくする際に必要になるのが、「歯列拡大装置(しれつかくだいそうち)」です。
ガタガタ歯並びの早期治療をおこなう際には、あご骨を広げる時期について考慮するだけでなく、用いる矯正装置についても十分に考慮することが大切です。
なぜなら、装置の種類によって、あご骨を広げるペースや、あご骨を広げることができる量が違うからです。
床矯正装置
床矯正装置とは、プレートタイプの拡大装置のことです。取り外し可能であるため、子供にとって負担が軽く、受け入れやすい装置であるということができます。
ただし、取り外し可能という特徴は、場合によってデメリットに働くこともあります。たとえば、拡大装置のつけ忘れや、装置の破損です。取り外しが簡単にできることが、治療が遅延する原因になってしまうことがあるのです。
ポーター型拡大装置
ポーター型拡大装置は、固定式の拡大装置です。奥歯にしっかりと固定してあるため、装置を取り外して食事や歯磨きをすることはできません。
ただし、しっかり奥歯に固定する装置であるため、ある程度強いチカラを加えることができます。そのため、床矯正装置の場合と比べて、比較的早いペースで、しっかりとあご骨を拡大することができるのです。
急速拡大装置
急速拡大装置は、文字どおり急速にあご骨を広げることができる装置です。そのため、乳歯の生え代わりまで猶予がないケースや、あご骨を積極的に拡大する必要があるケースでは非常に有効です。
ただし、急速拡大装置には、装置自体が非常に大きいという欠点があります。なぜなら、大きなチカラを加えることを目的としているため、装置を頑丈にする必要があるからです。
まとめ
歯のデコボコを改善するために、あご骨を拡大して歯を並べることは非常に有効です。
ただし、あご骨の拡大はいつでもできるわけではありません。安全に、しかも効果的に拡大できるタイミングがあるのです。
そのため、お子さんの乳歯が抜け始めたら、まずは子どもの歯並び育成に詳しい歯科医院を見つけることが肝心です。
そして、そのような歯科医院を選択したうえで、定期的な歯並びチェックを受けるようにしてください。