「ムーシールド」は、子どもの受け口(または、下顎前突症)を改善するために用いる矯正装置です。マウスピースタイプの矯正装置であるため、お子さん自身で取り外しすることができます。
そのため、治療中のトラブルや精神的な負担が少なく、小さなお子さんでも適用可能な治療ということができるでしょう。
また、このムーシールドを使用することで、受け口が改善するだけでなく、その他の効果も得ることができるのです。
ここでは、ムーシールドを使用することで得ることができるさまざまなメリットについて説明します。
ムーシールドを用いる3つのメリット
正しい舌位置の獲得
通常、わたしたちは食べ物や唾液(だえき)を飲み込む際、舌を上アゴの天井部分に強く押し当てて飲み込みます。
そして、この舌が上アゴを繰り返し強く押すということが、上アゴに刺激を加え、正しい成長に導くのです。
しかし、受け口のお子さんでは、食べ物やツバを飲み込む際の舌の動きは正しくないことがほとんどです。ほとんどのケースで、舌は下の前歯の裏側にある状態で飲み込んでいるのです。
そのため、下顎が大きいというよりむしろ、上アゴが小さいことが原因で受け口の噛み合わせになっているケースが大半を占めるのです。
ムーシールドを口の中に入れると、舌は強制的に上方向に持ち上げられ格好になります。唾液を飲み込もうとすると、さらに舌が持ち上げられるように設計されています。
つまり、お子さんの幼少期にムーシールドを使用することで、正しい舌の動きを獲得することができるのです。
鼻呼吸の獲得
ムーシールドを口の中に装着すると、口で息をしにくい状態になります。つまり、ムーシールドを使用することで、強制的に鼻で呼吸することを強いられるようになるのです。
このことは、お子さんにとって最初はつらいかもしれませんが、非常に望ましい状態と言えます。
なぜなら、鼻で呼吸することを習慣化することで、感染症にかかりにくいというだけでなく、お子さんの鼻腔(びくう)や上アゴの成長にとっても良い影響となるからです。
つまり、お子さんの小さい時期にムーシールドを使用することで、鼻呼吸の習慣を正しく身につけることができるのです。
口唇閉鎖(こうしんへいさ)の獲得
ムーシールドを口の中に入れた状態で、口唇を閉じるようにすると、口の周りの筋肉がものすごく緊張するのがわかります。
そして、ムーシールドを口の中に入れた状態で、唾液を飲み込もうとすると、さらに口の周りの筋肉が緊張します。
ムーシールドを用いる治療では、この筋肉の働きを利用することで、受け口治療を行っています。
そのため、ムーシールドを使い続けることで、口の周りの筋肉のトレーニングにつながり、口唇をしっかり閉じることができるようになります。
そして、そのことが受け口の再発を防止したり、上アゴの正しい成長を促したりするのです。
まとめ
ムーシールドを用いることで、お子さんの受け口を改善するだけでなく、舌の正しい機能を獲得したり、鼻呼吸などの正しい習慣を身につけたりすることができます。
そして、できるだけ早い時期に、正しい機能と習慣を獲得することが、お子さんの健全な成長にとって非常に重要になってくるのです。
よって、お子さんに受け口がある場合、子どもの口腔機能の育成において実績のある歯科医院を選択することが大切です。
そして、口の機能について適切な治療およびアドバイスが受けられる歯科医院を見つけたうえで、治療相談を受けることをオススメします。