「お箸のもち方がおかしい」、もしくは「食べ散らかしで、お皿の上がきたない」という人が気になって、「せっかくの食事が、まったく美味しく感じられなくなってしまった」、もしくは「食事にまったく集中できなかった」という経験はありませんか?
食事の際、このようにマナーの悪い人が近くにいると、周りの人はとても不愉快な思いをします。
食事の際、周りの人を不愉快にするのは、「クチャラー」も同じです。クチャラーとは、食事の際、クチャクチャまたはペチャクチャと音をたてながら食べる人たちのことです。
クチャラーが食事中に発する音で、「食事が不味くなった」または「食事にまったく集中できなかった」との苦情を訴える人が非常に多いからです。
なぜ、クチャラーは、食事の際、あのようなクチャクチャ、またはペチャクチャという音を発するのでしょうか? それには、いくつかの理由があるのです。
ここでは、クチャラーのクチャクチャ、またはペチャクチャという音の原因について説明します。
クチャラーの音の原因
口を開けたまま食べる習慣
クチャラーの原因として、最初に挙げられるのが「口を開けて食べる習慣」があるということです。なぜなら、クチャラーの多くは鼻呼吸が苦手で、口で息をしているケースが多いからです。
試してみるとわかりますが、口を開いた状態で噛む動作を繰り返すと、口の中にたくさんの唾液(だえき)がたまってくることが分かります。
なぜなら、口を開けた状態だと、「唾液を、無意識に飲み込む」という身体の反射機能が働きにくくなるからです。
たくさんの唾液がたまった状態で食べようとすると、クチャクチャと音を発しやすくなります。しかも、口は開いた状態なので、ペチャペチャが周囲の人の耳に入りやすいのは当然なのです。
食事中の下アゴの動き
クチャラーの原因として、次に挙げられるのが「下アゴの動く方向」についてです。
通常、食べ物を噛んで細かくする際、私たちは下アゴを上下だけでなく、横方向にも大きく動かします。なぜなら、下アゴを横方向にも動かす方が、食べ物を効率よくすりつぶすことができるからです。
しかし、クチャラーの多くは、下アゴを上下に動かすだけで噛もうとする習性があります。はっきりとした理由は分かりませんが、離乳食の時期に正しい食べ方を習得できなかったため、もしくは、幼少期に軟食ばかりを食べていたためと考えられています。
試してみると明らかですが、下アゴを縦方向だけ動かして食べようとすると、ペチャクチャの音が発生しやすくなります。このとき、口が開いた状態であったり、たくさんの唾液がある状態だったりするとなおさらです。
食事中の舌の動き
クチャラーの原因として、最後に挙げられるのが「舌の動き」についてです。
通常、私たちは、奥歯を使って食べ物を細かくします。その際、「舌で食べ物を動かすこと」、「奥歯で食べ物をつぶすこと」の2つの作業を交互に行っています。このように、舌が活発に動くことで、食材を左右の奥歯の上に運んで、効率よく細かくすることができます。
しかし、クチャラーは舌のチカラが弱く、動きが悪いことが特徴です。食事の際もあまり動くことなく、脱力した状態で下アゴの中におさまっているだけです。
そのため、口の中に入れた食材を、奥歯の方に移動することが苦手です。ガムを噛むときのように、一箇所でクチャクチャと効率悪く噛みつぶすことしかできないのです。
まとめ
クチャラーの原因の1つとして、「正しい食べ方を、離乳食の時期に獲得できなかった」ことが挙げられます。
そのため、クチャラーを改善する場合、矯正治療だけでなく、食べ方についてのトレーニングを同時に行うことが非常に重要になります。
よって、自分がクチャラーである自覚のある方は、矯正治療だけでなく、口の機能訓練を行うことができる歯科医院を選択することが大切です。
そして、そのような適切な機能訓練を受けることができる歯科医院を見つけたうえで、矯正相談に行くようにしてください。