矯正治療の治療期間を短くする方法の1つとして、「スピード矯正」があります。
スピード矯正とは、矯正治療を行う際に、「歯周外科(ししゅうげか)」を併用する方法です。矯正治療中に歯周外科を行うことで、治療期間を大きく短縮することができるのです。
ここでは、歯周外科を行うことで、矯正の治療期間を短縮できる理由について説明します。
スピード矯正で行う歯周外科
スピード矯正とは、ブラケットとワイヤーを用いて行う通常の矯正治療に、「歯周外科(ししゅうげか)」を併用する方法です。
スピード矯正で行う歯周外科は、歯を支える部分の骨に、小さな穴を複数あけたり、切れ込みを加えたりする処置のことです。当然、部分麻酔を十分に行ったうえで、一旦、歯ぐきを剥(は)いだ状態で、これらのことを行います。
では、なぜ、歯周外科を併用することで、矯正治療の治療期間を大きく短縮することができるのでしょうか?
なぜなら、歯周外科を行うことによって、歯を支える部分の骨が特殊な反応を示すからなのです。
歯周外科による反応
歯を支える部分の骨に、小さな穴を複数開けたり、切れ込みを加えたりすると、骨の中の成分が一時的に変化することが分かっています。
つまり、歯周外科で骨に部分的な損傷を与えると、骨に含まれるカルシウムの量が大きく低下するのです。これは、歯を支える骨が、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」と同じ状態になったことを意味します。
骨粗鬆症とは、老化によって骨の中のカルシウム量が低下し、骨がもろく、柔らかくなってしまう現象のことです。
このように、歯の周囲の骨が骨粗鬆症と同じ状態になることで、骨の強度が低下し、歯が従来よりも早く動くようになるのです。
スピード矯正とは、矯正治療中に歯周外科を行うことで、骨粗鬆症の状態を人工的につくりだす方法だったのです。
実際に、スピード矯正を行った事例
以前、わたしが運営するクリニックに、八重歯の治療を希望する女性が矯正相談にきました。
彼女は、短期間で歯並びを改善したいと強く望んでいました。なぜなら、彼女は、歯並びを整えたうえで、婚活することを考えていたからです。
そこで、わたしはスピード矯正を行うことにしました。実は、彼女は、当院に勤務するスタッフの高校時代の同級生です。
そのスタッフから、あらかじめスピード矯正について情報を得たうえで、矯正相談に来たのです。
歯の表面にブラケットをつけて治療を行った結果、7ヶ月後には予定通り、彼女の歯並びをキレイに整えることができました。
ただし、歯周外科を行った後からは、彼女には、2週間毎に通院してもらい、装置を調整することをお願いしまいます。
歯周外科でも痛みがなく、希望通り短期間で治療を終えることができたことで、彼女は非常に喜んでいます。
まとめ
矯正治療の際、適切に歯周外科を併用することで、治療期間を大幅に短縮することができます。ただし、すべての歯科医院で、このスピード矯正が受けられるわけではないので注意が必要です。
よって、短期間で行う矯正治療を希望する方は、まず、スピード矯正において実績のある歯科医院を見つけることが大切です。
そして、そのようなスピード矯正が受けられる歯科医院を選択したうえで、矯正相談に行くようにしてください。