歯の矯正治療が完了した後は、ブラケットなどの矯正装置を外すと同時に、ミニインプラント(または、インプラントアンカー)も取り除きます。
ミニインプラントを行った患者さんと話をすると、このミニインプラントを外す際の痛みや出血について、非常に心配している方が多いようです。
しかし、ミニインプラントの除去は、歯の抜歯とは全くことなります。局所麻酔も使用しませんし、出血や腫れたりすることもありません。
ミニインプラントを埋入した時と同じように、「案ずるより産むが易し」なのです。
ここでは、矯正治療終了後にミニインプラントを外した際の傷の治り方について説明します。
ミニインプラントの外し方
矯正用ミニインプラントは、通常のネジと同様に逆回転して外します。
その際、局所麻酔なしで行います。なぜなら、ミニインプラントの除去は、多少の違和感を感じることがありますが、大きな痛みを感じることがないからです。
ただし、例外があります。それは、周囲の歯ぐきが腫れて、ミニインプラントの頭をおおってしまっている場合です。
このとき、除去ドライバーを差し込む際に痛みが生じるので、インプラントにかぶさる歯ぐきには部分麻酔が必要です。
ただし、、腫れた歯ぐきの部分だけに用いるので、部分麻酔の量もほんのわずかで済みます。
ミニインプラントを外した傷口の大きさ
矯正治療に用いるミニインプラントの大きさは、直径1.5~1.8mm、長さも6〜10mm程度です。
単にネジを逆回転させて外すだけなので、除去したあとの傷口も、それ以上大きくなることはありません。
乳歯を抜いた時の穴の大きさと比べても、10分の1以下の大きさでしかないのです。
そのため、ミニインプラントを外した後の穴は、非常に小さい傷口であるということができます。
ミニインプラントを外した傷口の回復
ミニプラントアンカーを外した際にできる穴は非常に小さく、すぐにカサブタ状のもので満たされます。
いつまでも傷口から出血が続いたり、傷口に細菌が入り込んで化膿したりする心配はありません。
また、穴の周囲にある歯ぐきも、1日に0.5mmの速度で伸びます。そのため、インプラントを外した翌日には、穴はすっかり閉じてしまっていることがほとんどなのです。
実際に、ミニインプラントを外した事例
以前、わたしが運営するクリニックで、ミニインプラントを2本用いて矯正治療を行った女性がいます。
予定どおり矯正治療が完了したため、矯正装置とミニインプラントの除去を行いました。
その女性は、非常に心配症だったため、ミニインプラントを外す時の痛みについて非常に怖がっている様子でした。
それでも、通常よりゆっくりと外すことで、部分麻酔を行わずミニインプラントを取り除くことができました。
当然、外した後の出血や、炎症についても問題はありませんでした。
あっさり取り除けたため、彼女は拍子抜けの様子でした。
まとめ
ミニインプラントを外した際の傷口については、あまり心配する必要はありません。
ほとんどのケースで、部分麻酔の必要性もありませんし、痛んだり、出血したり、腫れたりすることもないからです。
ミニインプラントの除去は、想像するよりはるかかに安全で心配のない処置です。
そのため、ミニインプラントを外す際は、あまり気負わずに、楽な気持ちで臨むようにしてください。