顎の骨に小さなネジ(ミニインプラント)をいれて、矯正治療を行う方法があります。このミニインプラントを用いると、矯正治療をスムーズに確実に完結することができます。
また今まで不可能であった方法が、ミニインプラントで可能になりました。さらに今まで非常にわずらわしかった装置が、インプラントによって不要になったことも特筆すべきことです。
ミニインプラントの応用で、私達が得られるようになった恩恵は非常に大きいと言えます。矯正用のインプラントの応用範囲は広く、今後もさまざまな活用方法が紹介されるでしょう。
前歯6本まとめて移動
ミニインプラントを用いると、歯をまとめて動かすことができるようになりました。例えば、出っ歯(上顎前突)の治療で犬歯の後ろの歯を抜歯する場合があげられます。
以前の方法では、まず犬歯のみを後方へ移動させます。そして残りの前歯を、犬歯の移動を終えてから動かすという手順が必要でした。インプラントアンカーを利用すると、隙間を一気に閉じることができます。
歯列全体を動かす
ミニインプラントを用いると、歯列全体をまとめて動かすことができるようになりました。例えば、出っ歯の傾向がある場合、上顎の歯列全体を下げることで改善させることができます。
受け口の傾向がある場合にも、下顎歯列全体を後方に移動させることで解決させることができます。
歯の圧下
歯を押し沈めることは、矯正治療の中でも特に難しい治療です。ミニインプラントを用いると、歯を押し沈める方向に力をかけることができるようになりました。
例えば、歯ぐきの露出がきになるガミースマイルの治療で有効です。前歯を押し沈めることで、歯ぐきの露出を抑えることが可能です。
前歯が上下にを噛みあわない開咬症の治療でも、ミニインプラントは有効です。奥歯を垂直的に押し沈めることで、前歯が噛めるようになります。
奥歯の後方への移動
大臼歯を後方へ移動させることも、以前の方法では非常に困難でした。ミニインプラントを用いることで、副作用なく確実に大臼歯を後方へ動かすことができるようになりました。
例えば、出っ歯の治療において、その多くは抜歯して矯正治療することが必要でした。インプラントを使うとその上顎前突も、抜歯せず矯正治療することができます。
奥歯から順番に後方に下げて、最後に前歯も後方へ下げるという方法です。
確実な固定源
矯正治療では、治療上動かしてはいけない歯があります。ミニインプラントを用いることで、確実に特定の歯を固定することができるようになりました。
以前、特定の歯を固定するためには、かなりわずらわしい装置が必要でした。例えば、ヘッドギアという帽子です。日中も着ける必要があったので、大人の方には使用することはできませんでした。患者さんが使用してくれないばかりに、固定すべき歯が簡単に動いてしまうことがありました。
指示通り使用していても、移動してしまうこともありました。以前の方法では、インプラントを用いれば、不確実性が一気に解決します。患者に協力を求めることなく、特定の歯を確実に固定することができるのです。
まとめ
ミニインプラントの応用で、矯正治療が大きくかわりました。矯正治療が、スムーズに簡単になっただけではありません。
今までできなかった治療が、しかも確実にできるようになったのです。あなたも矯正治療を始められるなら、このミニインプラントの恩恵を受けあれるかもしれません。